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winter's scarecrow

2010年 05月 24日 ( 1 )

雨の色

5年前の夏の終わりに三重県松阪、宇治山田、鳥羽の町を歩いていた。
小説『檸檬』『城のある町にて』の作家、梶井基次郎の小学校から旧制中学時代を過ごした町を感じてみたかった。
大阪で生まれ基次郎が結核で亡くなる31年間の生涯、20回以上の引っ越しを繰り返している。
松阪は基次郎には特別な場所、結核病持ちの唯一「死」から解放される場所だったのかもしれない。
     
     今、空は悲しいまでに晴れていた。そしてその下に町は甍を並べていた。白亜の小学校。
     土蔵作りの寺の屋根。其処此処、西洋菓子の間に詰めてあるカンナ屑めいて、緑色の
     植物が家々の間から萌え出ている。
     ある家の裏には芭蕉の葉がたれている。遠くに赤いポストがみえる。

『城のある町にて』のこんな文面に誘われて、帝大生になった基次郎が病気の治癒のためひと夏を過ごした殿町近辺を一望できる松阪城址へ向かった。
櫓跡に着くと松阪の城下町が一望できた。 すぐ下には何十メートルあるんだろうか、お城番屋敷の長屋の長~い屋根瓦が路を挟んで2棟建っている。 現在も人が住んでいる。 寺の大屋根も見えた。

基次郎はこの町に嫁ぎ学校の先生をしている姉の家で大正13年の夏を過ごした。 
町を歩いていて庭いじりをしていた老人に基次郎の姉夫婦(夫は松阪商の教師)のことを訊ねてみた。 
遠い記憶に姉夫妻の面影が残っていると老人は言っていた。 持っていたビデオカメラをまわした。
鳥羽駅の近くの丘の上に建つ古い小学校、通っていた旧制中学(現・宇治山田高)へも行ってみた。
旧制中学の2級下には映画監督の小津安二郎がいた。 伝説の投手、澤村英治も宇治山田の出身だ。

東京は梅雨の走りの雨模様。 汐の香りが恋しくなるとき、あの時の鳥羽の海を想い出す。
基次郎の散文的な淡々とした文章、汽車の車輪の音も鉛筆を走らせる微かな音も音楽ように聴こえ、空の色、雲の色、雨の色も
闇の暗さも基次郎の描く文章からはくっきりと感じとることができる。


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今月の中旬、ずっと気になっていた作家さん、山口県美弥市で作陶されている大中和典さんの展示会へ行ってきた。

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この形のtea potは珍しい・・、他にも魅力的なpotがいっぱい並べられていた。 可愛らしい中国茶器まであった。

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持ち手の上部に親指をのせられる、これがなかなか使いやすい。

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大中さんの繊細なディテールと発色、焼き〆られた硬質なうつわ、独創的な花器やボトルやpotのフォルム、そんな大中さんの懐の広い世界をいっぱい堪能してきた。
青山学院大の西門近くにある"うつわ謙信"での大中和典展、
展示されたうつわの棚に檸檬(レモン)を一つ、そっと置いてゆきたかった。 
by w-scarecrow | 2010-05-24 22:37 | うつわ | Comments(4)