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winter's scarecrow

レバーペースト

日本人が日常的にレバーを食べるようになったのは戦後の闇市かららしい。
東京では焼鳥屋という名の焼トン屋さん、大阪では放るもん=ホルモン焼が統制外の内臓をお店のメニューとして出してから一般的になったらしい。
月島では今でもレバーフライを売っている肉屋さんがある。
豚の肝臓だけでなく腎臓も家庭で食べていた。 今、想うと貧しくともバランスのとれた食生活だったのかもしれない。
私はボンカレーとチキンラーメン、駄菓子を栄養源として大きくなった。
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先日、亡父の21回目の命日なので実家にお線香をあげに行った。
鶏のレバーが苦手な母に豚のレバーペーストと軟らかなパンを買っていった。
「平田牧場というところの豚のレバーなんで大丈夫だよ」
「牧場・・・?」
「美味しい豚肉で有名なとこで、トンカツ屋もやってて結構人気があるんだよ」
「牛や馬が走りまわっているところが牧場で、豚なんかは走っていないだろ」
「・・・(確かに)」
「豚は養豚場!」
「クマ牧場もあるし、最近はダチョウの牧場もあるよ」
「・・・・・・!」

いつも変なところで話が停まってしまう。結局、養豚場を牧場を呼ぶのが納得がいかないみたいだ。
80代の母とのいつものキャッチボールがなかなか楽しい。

毎朝、6時過ぎになるとベランダから雀のチュンチュクという鳴き声が聞こえてくる。雀の目覚まし時計。
以前は賞味期限をとっくに切れたそうめんを細くちぎって雀に与えていたが、ある時から一袋¥98のイタリア製のスパゲッティーの乾麺を与えていた。
それ以後、うちに飛んでくる雀たちはすっかりItalianになってしまった。 雑穀米を皿にのせておいたら1粒2粒つまんで「なーんだっ」という顔をして飛び去っていった。

夕暮れの頃、一羽だけで飛んでくる雀がいる。ガラス戸の向こうから部屋の中を覗き込む。
2度ばかり部屋に入ってきたこともあった。
細身のシルエットといい、人懐っこいとこといい、あの雀は亡父である。
亡父は洋食はあまり食べなかったが、ナポリタンは美味しそうに食べていた。

平田牧場の三元豚のレバーペースト、あっさりとしたなかにもコクがあります。
by w-scarecrow | 2009-03-09 22:13 | 食 + うつわ