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winter's scarecrow

来花


日曜日、仕事中にメールが入っていた。

助監督、撮影助手、同じ暗黒のペイペイ時代を過ごした友。今は郷里に帰り家業を継いでいる。

「w、長男が出来たんだけどいい名前ないか?」「爺ちゃんたちが決めるんじゃないの?」
「そんなの気にしなくていいから」

そんな息子は28歳になっていた。「カメラマンの息子は、ライカに決まってんじゃない」

そろそろ危ないとは知っていたけどライカくんは逝ってしまった。
ライカくんとは彼が専門学校の時、カメラマンの助手になったときと2度、二人で飲みに行った。

「ムービーとスチールカメラマンの違いはあるけどお父さんと同じ道を選んで、オヤジ嫌がってないの?」

彼は「全然」と首を振っていた。爽やかな笑顔が今も脳裏にこびりついてる。



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「wさんが僕の名前の名付け親なんですよね・・」「Nikon や Canon じゃ、まずかったし」


彼の親父は「なんで自分より先に・・」「病気になったのもなんも親のせいだよな・・」と細い声で言っていた。

駅からの帰り路、電話を切って街道沿いにある小さな飲み屋さんへ入った。3度目。
一年かかってやっと見つけた落ち着ける場所。

高校生棋士・藤井くんみたいなシャイな店主。

ライカくんが好きだったバンプ・オブ・チキンの曲が店内に流れていた。



部屋に帰りTVを点けるとコーヒー飲料 WANDA の CM が流れれていた。
北野たけしが運転するタクシーに乗り込んだ神木くん。

「最近ちょっと疲れちゃって」
「それだけあんたが必要とされているんじゃないの・・」



バンプを好きだったライカくん、きっとバンプを尊敬している米津玄師も好きだったんじゃないかな・・。
彼はどんな恋をしていたんだろう・・


心底、響いた。28。


   米津玄師 Lemon





by w-scarecrow | 2019-07-03 00:38 | そのほか