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winter's scarecrow

鉄輪の湯けむり

1990年代の香港映画、女性監督・許鞍華(アン・ホイ)の監督補として就いていた。

香港映画は脚本がないといわれているが、本当なんです。
ベースの台本はあるのですが、すぐパクられていまうので公にしません。 前日、前々日に書き上げたものか現場で脚本を描き演出してゆきます。

ロンドン、マカオ、香港の撮影を終え、最後は別府、湯布院、大分での準備期間を含め3~4週間の撮影。


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撮影隊の宿泊、別府駅前のかなりポンコツのビジネスホテル。

そこに香港映画の名女優・マギー・チェンもスタッフともども逗留している。日本映画だったら主演女優はそんな錆びれたホテルに滞在させることはない。

香港映画のクルーは日本人は私だけなので、市役所の厚意で観光課の二人が帯同してくれた。
普段は9時5時の役所の職員、中尾さんも三ヶ尻さんも朝7、8時から夜中2,3時までずっと撮影の同行してくれた。

映画の撮影のハードさに面喰っていたと思うが、後々本人たちは何か別世界に自分もいるようだと言っていた。 

撮影時に道路を10分位い人や車止めをることがある「申し訳ありあません」、市役所の人たちが夜更けの歓楽街で車止めをしていてくれていた。
こういうときには灯りに引き寄せられたようにヤンキーがやってくるのだが、このときは顔を赤くした酔っ払い運転のガラの悪い男たち、「なに、断りもなく止めてんじゃ!」

「撮影許可を取っているので」と市役所の中尾さんが足を運んだら、奴らは逃げ去った「あの酔っ払い運転の奴は別府警察の警官でしたよ」とニコッと笑ってくれた。
車止め人止め、弁当手配に機材運びスタッフ以上の働きをしてくれた。

役所勤め10年の中尾さん、地元の進学校から大学進学時にいくつかの推薦入学枠があり、その中で「津田塾大学を・・」と進路指導のときに言ったらしい。( 女子大とは知らず)

結局、軟弱ミッション系、私より2歳上の先輩、別府のカラオケでサザンを歌いながら渋谷宮益坂「ラケル」の思い出話。

NHKが撮影した跡にはぺんぺん草も生えないというのが映像に携わった人たちの常套句。

その後、中尾さんは役所間の日米交流でアメリカ留学した。

きっとNHKが撮影した跡も、別府観光にぺんぺん草が生える誘致をいくつもされてきたと想う。

香港の許鞍華が東京映画祭で審査委員として来日したときも「wさん、中尾さんには感謝を伝えといて」と言われた。

地方での長い撮影、数知れない町の人々の援助と中尾さん、三ヶ尻さんみたいな突出した役人さんたちと出遭います。

中尾さんが出張で東京に来られた時はいつも台湾へなちょこ中華料理店だっんで、今度は本格中華で。

「何十年かの役所勤めで、あんな刺激的な1ヶ月はなかった」と言っていた。 佐藤課長、残業代はつけてくれていたのかな?
今、思うとそれだけが気になる。残業といより睡眠時間が3,4時間の毎日だった思う。


また、訪ねますね別府、鉄輪。


by w-scarecrow | 2017-12-23 04:54