過ぎる
梅雨の合間に射す光
陽は降りつもり
風がさわさわ鳴っている
アイボリーの半袖シャツに帽子を被ったお爺さん
大きな木の下のベンチに座っている
お爺さんの足元には
年をとった犬がうずくまっている
筋張ったお爺さんの手で撫でられ
気持ち良さそうに薄目をあけている
お爺さんは我が家にもらわれてきたときの
子犬だった頃を想い
老犬はいつも遊び相手になってくれた
少しだけ若かった頃のお爺さんの姿を想い
ぼんやりとした視線でお爺さんの足元を見ている
お爺さんの時間のなかを
愛する犬の時間が駆けぬけ
7月の木洩れ日をうけながら
年を経てきたもの同士
おなじ時間を並べている
織り姫と彦星が夫婦だと初めて知った。
年に一度の逢瀬、いつも雲が隠してくれている。
by w-scarecrow
| 2010-07-07 08:39
| 散歩