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winter's scarecrow

I'm still here

この街の地面にまつわりつくような湿気が嫌いだった。
音の氾濫した夜の街、奇声や歓声、ゴールデン街や思い出横丁の小さな酒場に集まり斜に構えながら酒を呑む人々。
他人とは関係ない振りをして、人との係わりを待っている。 議論して喧嘩して、そんな人の侘びしさがたまらなく厭だった。
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新宿アルタ前の西口へ抜けるトンネルの横で、愛娘がソフトクリームを食べ終わるまでジッと待っている父親の姿があった。
お父さんと日曜日のお出かけ。 抜けるような青空。
街を歩いているといつも「父と子」に目がいってしまう。

小さい頃、父から買ってもらった『シナの五人兄弟』という絵本を擦り切れるまで捲っては、また初めから読み返していた。
シナ服を着た五人の兄弟の絵が大好きだった。
「もう一回、読んで!」と何度も母にせがんでいた気がする。
子供は好奇心の塊り、外へ出れば知らないこととの出会いばかり・・・、
いつもと同じ毛布やタオルやぬいぐるみ、それがなければ眠れない子もいる。
知っているお話を繰り返し聞く安心感、いつも横にある毛布やタオルに触れる安心感、そんな安心感
があるから未知の世界へ向かっていけるのかもしれない。
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変わってしまった新宿駅西口の風景。 でも、なぜか空が広い。
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沖縄の"琉堂・紅いも生どら"という鮮やかな紅芋のどら焼き、紫色の焼き芋も売っていた。
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"さんるーむスイーツ"のクリーム・シフォン、マンゴーとクスミン茶。
なんか懐かしいスポンジの味がした。

家に帰り、買ってきた泡盛を呑みながらTom Waitsを聴いた。泡盛にぴったりのしゃがれ声。
"I'm still here"
by w-scarecrow | 2010-05-17 20:17 | 散歩