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winter's scarecrow

雨降りお月さん

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1956年の渋谷駅前。(撮影:長野重一)

写真の左上へ行くと道玄坂。
道玄坂をのぼったところに与謝野晶子、鉄幹夫妻の住居跡に歌碑がある。
明治34年、晶子はこの地で『みだれ髪』を書きあげている。

道玄坂をのぼってすぐ右に"恋文横丁"があった。
駐留軍の兵士に送る恋文を英語で代筆する露天が何軒かあったみたいだ。
私の小さい頃、その小路はまだ残っていた。 
その上にある旧円山町は"円山花街"といわれ、1975年頃までは料亭が30~40軒あり、円山芸者も80人ちかくはいたみたいだ。 今は2人だけらしい。 
1968年に西武百貨店が渋谷へ進出し、1969年、二子玉川まで走っていた路面電車、玉電が廃止。
1973年にパルコができると渋谷から"シブヤ"へと急激に変化していった。 そしてバブル。
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◆上の1956年の写真と同じポジションです。
渋谷駅の下に渋谷川が流れている。 下流の天現寺あたりからは古川と名前が変わる。

その渋谷川の少し上流、代々木八幡付近の川の流れを謡った童謡が『春の小川』。
『故郷』『おぼろ月夜』を書いた高野辰之が川辺に咲くスミレやレンゲの花を見て、詩にした。
それから100年、エビやメダカや小鮒のいた川は蓋をされ地下を流れる、
その上をルーズソックスを履いていた女子高生やガングロやコスプレが歩んできた。

母がよく口づさんでいた『雨降りお月さん』 (詩:野口雨情、曲:中山晋平)
こども心にすごく悲しい歌に映った。

♪ 雨降りお月さん 雲の陰
  お嫁にゆくときゃ 誰とゆく
  ひとりで傘さしてゆく
  傘ないときゃ 誰とゆく
  シャラシャラ シャンシャン 鈴つけた
  お馬にゆられて ぬれてゆく ♪

今でもこの歌を聴くときは割烹着を着た母が台所で、米をとぎ、魚を捌き、洗い物をしている後姿が浮かんでくる。(まだ健在)

『赤い靴』、『十五夜お月さん』、『シャボン玉』など野口雨情の詩は悲しく感じるものが多い。
特に『シャボン玉』は「・・こわれて消えた」の言葉が繰り返される。
雨情の長女が生まれて7日目で亡くなり、この詩を書いたらしい、
♪ シャボン玉 消えた
  飛ばずに 消えた
  産まれてすぐに
  こわれて 消えた ♪
悲しく切ない歌である。
童話を読んで、童謡を聴いて心和むときがある。 でも、耳を澄ますと少しの残酷さを感じるときもある。

渋谷駅前で写真を撮った日曜日、あまりにも暑く高校野球の予選を観るにはきつく、そのまま東横線に乗り横浜中華街へ、中華ちまきをまた買いに。 冷凍庫にまだ9個入っている。
これでこの夏は乗りきれそうだ。 ♪ちまき食べ食べ兄さんは、測ってくれた背の丈♪
by w-scarecrow | 2009-07-28 19:49 | 散歩