winter's scarecrow

これから

e0158857_2142347.jpg

   
                 わたしは生まれてしまった
                 わたしは途中まで歩いてしまった
                 
                 わたしは あちこちに書いてしまった
                 余白 もう
                 余白しかのこっていない

                 ぜんぶまっ白の紙が欲しい 何も書いていない
                 いつも 何も書いていない紙
                 いつも これから書ける紙
                 (書いてしまえば書けないことが 書かないうちなら書かれようとしているのだ)
                 
                 雲にでも みの虫でも バラにでも
                 何にでも これからなれる いのちが欲しい

                 出さなかった手紙
                 うけとらなかった 手紙が欲しい

                 これから歩こうとする
                 青い青い野原が欲しい

                吉原幸子(1932-2002)詩集より 『これから』 


麻布十番から渋谷行きのバスに乗った。
初夏を想わせる日の昼下がり、バスは空いていた。
斜め向かいの席に、そろそろ臨月を迎えそうな女性が座っていた。
左手に携帯を持ちながら、睡魔にあらがうこともなく、スヤスヤと夢見ごこちに眠っている。
一見、安室ちゃんかアユのファンのようないでたち。
携帯のストラップに木で作られた小さな将棋の駒がぶらさがっていた。 「王将」や「歩」とは書かれていない。
「愛」と朱色で彫られていた駒。

まだ、あどけない顔をした妊婦、これから少女から母へと脱皮をしていかなければいけないのかもしれない。
刻まれた「愛」、それだけでいい。 今の少女さをそっと残して。
[PR]
by w-scarecrow | 2009-04-15 22:58 | | Comments(2)
Commented by Kirara at 2009-04-16 01:07 x
こんばんは!
妊婦になるとやったら眠くなるんですよね^^;
きっと赤ちゃんが生まれたその瞬間から睡眠時間が極端に削られるので
今の内に寝とけ~~♪」っていう神様の配慮なんでしょうね(笑)

時々 もう一回 一から子育てしてみたいと思うときがあります。
今 このときの精神状態で。。。
でもきっと 結果は同じだろうな・・・ってことも うすうす知っています(笑)

Commented by w-scarecrow at 2009-04-17 09:14 x
kiraraさん、「今のうちに寝とけ」の神様のお計らい、
産んだことはないのですが、その計らいに「きっとそうだ!」とすごく納得できます。
いつかお孫さんができたときは独り占めしちゃいましょう。