winter's scarecrow

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スイカ

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スイカが恋しい季節になってきた。

半月に切られた果肉にガブッとかぶりつく。喉をごくりと鳴らし、みずみずしい甘さがいくつもの夏を想いおこさせてくれる。

私の通った小学校はまだ古い木造校舎が残っていて、一、二年生のときは机も木製の二人用だった。

その二人用の机は境界線が不明瞭で消しゴムがはみ出ているだとか、肘が国境を越えたとか、ささいな争いが絶えなかった。

幸い隣に座る Y 子は体育は不得手だったが物静かなやさしい子だった。

昼休み、彼女はひとり机に座り黙々とリリアンを編んでいた。ミカンみたいな色をした編み物が少しづつ顔を出している。

そんな見事な技に魅せられ私もやってみようと・・・。


「男がやるもんじゃない」と母に言われるのは解っているので、高校生の姉にねだってみることに。


「絶対、みんなに言わないんでほしいんだけど、オレもリリアン買ってもらったんだ」

打ち明けられた Y 子から『今日から仲間だね』と言わんばかりの笑顔が返ってきた。


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Y 子のお父さんは小学校の真ん前にあるビール工場に勤めていた。

私はいつものように近所の酒屋の立ち飲みコーナーで清酒を呑んでいる父親を迎えに行く途中、Y 子とお父さんに出くわした。

すれ違いざまに軽く手を振るY 子。お父さんの手にはネットに包まれた大きなスイカがあった。


「そろそろご飯だから帰ってきてって」「お前、食うか」と、つまんでいた鯨の大和煮の缶詰を差し出すわが父。
「クジラはいらない」

いいな~よそんち。


日本一のスイカの出荷数を誇る熊本県。5月が出荷のピークだったらしいがどうだったんだろう?
丸々一個のスイカを食べたいですね。

種をプイップイッとベランダの端まで飛ばして・・・。
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by w-scarecrow | 2016-06-27 18:40 | そのほか | Comments(0)

お宝

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母の日の華やかさにはまったく及ばない父の日。

地方紙に父親の想いを綴ったエッセイが載っていた。


「(抜粋)あのころに戻りたいと思うことがあります。もう一度やり直したい場面がいくつもあります。
お父さんは世界でいちばん強い、お父さんは世界でいちばんモノ知り。それを信じていた子供たち。

生まれたときは『生きてればいい、それだけでいい』そう思っていたはずなのに・・。

子供たちが成長するにつれ、いつの間にか『オマエのためだ』といいながら、親のわたしたちの欲のために子供を叱り、わたしたちのミエのための子育てをしていることがありました。
わたしたちは『世間に自慢するための子供』を育てたいと思っていたのでした。

そんなわたしに叱られて、泣きながら眠ったその顔に、涙のあとがくっきりと残っていました。
その涙のあとを拭きながら、わたしはなんと愚かな親だろうと思いました。

わたしはそのつど子供たちに許してもらって親を続けてきたのです。

いま、わたしの願いははっきりしています。
子供たちが幸せでありますように。この世に生まれてきたことを喜べますように・・。
そのほかのよいことは、オマケなんだと思います。



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学生時代の友人は父の日に娘さんから高級育毛剤をプレゼントされ、「そんなにイッてるのか?!」と育毛オタクになってしまいました。

別の友人は父親とそっくりな顔が娘さんのコンプレックスになり、思春期のころは「傍を歩かないで!」とキツイ禁止令をもらってしまった。
娘さんが幼稚園のときに描いたお父さんの似顔絵がお宝だという。” だい好きなお父さん、おしごとがんばって!”

父の日の悲喜こもごも、次の日の飲み屋は失恋した若者のように肩を落としたオジサンたちでにぎわっている。
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by w-scarecrow | 2016-06-24 16:04 | そのほか | Comments(0)

SATO

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6月も3分の2が過ぎたのに、まだ台風が一つも発生していないのは18年ぶりだという。

NASA の発表でも史上最も暑い夏になるらしい。

浅草や鎌倉の人力車での観光も近い将来、ラクダに乗った寺社巡りになるかもしれない。

北向きの部屋に引っ越しをしておいてよかったっ。


降雨の少ない東京の町のアジサイたちは潤いのファンデーションも塗れず、七変化ができずにいる。 古来日本生まれの花なのに江戸時代以前の歌や文学には殆ど登場しない。

先人たちは心変わりの七変化を嫌っていたのかもしれない。

今やアジサイの名所は人、人、人。 

一色に染められる愚に気づいたのかも。


S さんからいただいた佐藤錦、ベッピン揃いだ。小さな小錦から食べることにしよう。
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by w-scarecrow | 2016-06-20 19:43 | そのほか | Comments(0)

ぬか漬け

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ケルト神話ではナナカマドは魔女の木といわれ、霊的な力を呼び起こす力があるとされている。

ファインダーを通して眺めていると「おとぎの国」へと引き込まれていきそう。

妖精たちにはそんな遇いたくないが、クッキーを作っているクッキーモンスターには会ってみたい。


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              米ぬかを蒸す干す炒る
              一つかみ天塩ほうりこんだ
              水を沸騰させて よく冷やしてくわえる
              みそぐらいの固さにして それから
              昆布 赤唐辛子 ショウガ 魚の頭

              古いパンを少し ビールをちょっとという感じ
              しっかりした樽か 瓶につめる
              
              漬けるものは何だっていい
              きみの時間を漬けてみるといいよ
              ぬかみそは毎日ってことが大切なんだ
              日に一度手を突っ込んで掻きまわすんだ
              
              新鮮な空気がたくさんほしいんだ
              風をいっぱいに通してやるんだ
              酸っぱくなってきたら 重層を一つまみ

              こころのカケラを二ツ三ツ混ぜてやる
              孤独な生きもののように
              冷たくて暗いところがぬかみそは好きだ

              急いではいけない
              ぬかみそを漬けるとわかる
              毎日がゆっくりとちがってみえる
              手がはっきりとみえる


                                     長田弘詩集「食卓一期一会」より


デパ地下でいつものようにぬか漬けをかってきた。きゅうりにナスにカブ。
スーパーでパックに入っているぬか漬けは塩っからい。

おふくろやばあちゃんの味がしない。 

自分で漬けたいという欲求を抑え毎回毎回買っている。ハマったら最後なんです。

「漬ける」行為はまさしく時間を感じるということ。ぬか漬けができあがるまでの時間も一緒に食卓で味あう。

いいな~。
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by w-scarecrow | 2016-06-13 20:16 | そのほか | Comments(0)

アンテナ

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「ベトコンはオレをニガーとは呼ばない、アジアの貧しい人を殺すなんて冗談じゃない、白人こそ自由の敵だ」

ローマオリンピックで金メダルを獲得し、その後も数々のタイトルをものにしたムハメッド・アリ、変わらない差別に憤り入店を断られたレストラン近くの川にメダルを投げ入れた。

ベトナム戦争への徴兵を拒否し、それまでの栄光のタイトルを剥奪された。

「過剰なほど自己を信じる能力」とアリについて作家・沢木耕太郎は著書 " 一瞬の夏 ” で記している。

ロサンゼルス五輪での聖火を危なげに持っていたアリの姿が甦る。 権力や裏社会と闘いつづけてきたスターが病魔と闘っていた。 

闘うこと、どれだけの負荷をかけ自分と闘ってきたんだろう?


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返還前の香港の旧・啓徳空港へ初めて降り立ち、九龍から裏街へ行った。

ダストから流れてくる強い香辛料や油の匂いが人々の放つ体臭と相まって街中を包み込んでいる。

狭い小路には生きたままの食肉用の鳥たちやケージに入った爬虫類が店頭に並び、短パン一丁の主人が煙たそうに煙草をふかしている。

華やかなビル群の狭間とその影に暮らす人々。

そんな歴史ある街の匂いと混沌と、デカダンと奔放さと熱気に私は圧倒されつづけた。

沢木耕太郎の " 深夜特急 " で沢木が乗った香港島へ向かうスターフェリーにも乗ってみた。

今まで自分が身を置いていた酔狂な街路の興奮から覚め、心穏やかになっていく・・。


『私が旅という学校で学んだことがあるとすれば、それは自分の無力さを自覚するようになったのかもしれない。旅に出なかったら自分の無力さにずいぶん鈍感になっていたような気がする』

『無力な自分が悪戦苦闘をしているところを、他人のようにどこからか眺めていると、少しばかりいじらしくなったりもする。おい、おい、そんな頑張らなくてもいいものを、と』沢木耕太郎

" 深夜特急 " を読んで香港・マカオ、南アジア、インド、イスタンブールへの旅をされた人も多かったはず。

あの当時の私には「未経験」という財産つきの若さがあった。

今は、寅さんのように日本の風情ある地方都市で、どこからか現れるマドンナと出逢う、そんな軟派な旅を夢見ているかもしれないが、まだ当時のような感受性は残っている、と思う?!

感受性のアンテナを磨きながら期を待つことにしたい、と思う。 頑張ろうっ。
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by w-scarecrow | 2016-06-08 19:35 | そのほか | Comments(2)

ゾウさん ありがとう

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                    思い出さないでほしいのです
            思い出されるためには 忘れられなければならないのが いやなのです

                                         寺山修司
 


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井の頭自然文化園で69歳で逝ってしまった象のはな子さん。 はな子さんの干支はイノシシ、料理家・平野レミと同じ年。

タイの王宮で大事に育てられ、2才のときにゆらゆら船に乗ってニッポンへ。

はな子さんは武蔵野の地で毎日どんな夢をみていたんだろう?

緑眩しい森林の夢?

やさしいお母さんの長い長い鼻の夢?

花をたむける年配の人々、涙を流している人、それぞれの思い出がはな子さんがいなくなったステージに重なり合っているようだった。


新入社員なのかお決まりの黒いスーツの女子2人、デニッシュにカフェラテ。
「本気出したら仕事も付き合い(男)も上手くいくと思ってた・・・」

聞こえてくる声に私の方もしんみりとしてきた。

回転寿司であれば取り逃した皿もまた回ってくる。
短い一生、どんな人たちと出逢えるかがすべて、デニッシュを食べ終わったら本気出そうっ。

横浜 DeNA ベイスターズが調子を取り戻してきたので日々一喜一憂、疲れきっています。





                                       
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by w-scarecrow | 2016-06-04 14:52 | そのほか | Comments(0)