winter's scarecrow

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うつり気

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         思いきり愛されたくて 駆けゆく六月 サンダル あじさいの花   俵万智


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東銀座のビルとビルの狭間で野菜を売っている86歳のおばあちゃんがいる。

働く女性の笑顔のなんと綺麗なこと。 おばあちゃんは茨城から毎朝新鮮な野菜を1mはある大きな籠を背負ってやってくる。


昭和30年代から千葉から来る行商のおばちゃんたちの専用車両が京成電鉄にも国鉄にもあった。もんぺを穿き籠を背負い都内各地のお得意さまの家々を売り歩く。

私の家にも物心ついた時から千葉からのおばちゃんがやってきた。 多めに野菜を買ったときは干し芋をサービスで置いていってくれた。
「w ちゃん、好き嫌い言わずにいっぱい食べて大きくなんなさいな」

おやつには、よそんちみたくゼリーやホットケーキを食べたいが、いつも干し芋か味噌おにぎり。
干し芋はいまだに嫌いだ。


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瀬戸大橋が開通してからは高知のトマトもピーマンもショウガも採れたその日の新鮮野菜が東京へ入ってくる。
鳴門金時、愛媛の新種の柑橘類。東京では流通が少なかった野菜が今は身近な存在になっている。

秋田のジュンサイ、宮城の曲がりネギ、大阪の水茄子、各地の名産品がアンテナショップを回れば手に入る。
そんな野菜たちを手にしたときの幸せな気分。 

6月、緑色をした野菜たちの旬を迎える。 いつも行く飲み屋さんで出してくれる東京狛江市で採れた枝豆が抜群に旨い!

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     ” 安らかに眠って下さい。過ちは繰り返しませぬから ”

広島・平和記念公園にある原爆慰霊碑に刻まれた碑文には主語がない。 人類の使命。


雨に濡れた紫陽花はより色の深さを増す。 紫陽花の七変化、無情、移り気などの花言葉、そんな浮気な花々に包まれてみたいですね。
by w-scarecrow | 2016-05-30 22:36 | そのほか | Comments(0)

おもいでポロポロ

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                   代々木上原の銭湯&コインランドリー



「希望とは地上の道のようなもの」魯迅は言っていた。

もともと地上に道はない、歩く人が多くなればそれが道になる。祖国に失望しもがいていた文学者・魯迅。


今まで出逢ってきた人たちに、自分には全くない大きさ、大らかさ清々しさを感じるときが多々あった。

この人はどんな所で育ってきたんだろう? 海も山も青い空も済んだ水もその人背中の向こうに広がっている。

いつも思う。土。

私は幼稚園も小学校もそれ以降も土を踏んで通学することはなかった。 小学校の校庭はコンクリートだった。

土を踏むことがなかった。土の上で遊ぶことも少なかった。


高畑勲監督の映画 " おもいでぽろぽろ " 、主人公のタエ子は親の代から東京育ち、夏休みに祖父母の待つ古里へ帰省する友達が羨ましくてしょうがなかった。

夏休みの宿題の作文の題材が私もなくて困った。

父も祖父もよく判らない先祖も東京生まれ。帰省する古里がない。

虫捕りや川遊び、田舎の夏祭り、縁側でスイカの種をプイプイと飛ばすこともなかった。

タエ子は20歳を過ぎてから親戚が住む山形へと足しげく通うことになる。

私も大学時代の友人の住む静岡や東北、北海道へとポカリと空いた穴を埋めるように勝手に帰省することにした。

なんでこんな性格な人間になったんだろう?と想う。 「土」なんだ、きっと。
by w-scarecrow | 2016-05-25 22:13 | そのほか | Comments(0)

おから

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              ゴマ和え


                台所に立てば
                菜をゆすがなくてはなりません
                菜をゆすいだら茹でなくてはなりません
                
                台所に立てば
                火はほうほう言うし
                鍋はじんじんじんじん
                そこで塩を一つかみ
                菜が色よく茹ったら
                水に放さなきゃならないし
                そろえて絞ったら切らなきゃならないし

                台所に立てば
                重ねたお皿はカチャカチャカチャ
                湯気やら煙やら
                あっちから こっちから
                そらそらゴマがピチパチ跳ねて
                アッチチ 鍋掴み鍋掴み
                布巾 摺り鉢 菜箸 醤油

                台所に立った途端にドミノ倒しがはじまって
                ひっかかっている心配事は
                こぼれ落ちそうな悲しみ事は
                あと回しにしなきゃあ なりません


                                山崎るり子詩集(思潮社刊)


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何気ない毎日が風のように過ぎてゆく、どこに向かって吹いているんだろう・・。

うつろいやすい春、少しづつ何かがずれている。



『トントントン、日野の2トン』と呟きながら、駅からの坂道をのぼっていく。

坂のてっぺんにはいつもの豆腐屋さん。

また生揚げ(厚揚げ)の肉詰めが食べたくてのぼっている。ねぎと挽肉は背中のリュックのなか。



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「すみませ~ん、卯の花を2パックください」と40歳代の母親。

卯の花や豆腐屋ならではの惣菜が店頭に並んでいる。

「これ豆腐で出来てるの?」と中学生くらいの娘。

「おからの炊き合わせ・・」

「おから?!卯の花って名前がキレイだね」




おからは " 空っぽ " " 中身のない " という意味。 

でも椎茸やニンジン、こんにゃく、ごぼうなどと出し汁で鍋にかければ、美味しさをいっぱい抱き合わせた一品ができあがる。

私も次に来たときはおからを買って帰ろうっと。 いいね日本の食。


    ” 卯の花の 匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて 忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ ”
by w-scarecrow | 2016-05-20 18:04 | そのほか | Comments(0)

TOSHIKO ♪

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3月に NHK BS で放送された " TOSHIKO スウィングする日本の魂 " を再度、観ながら黒霧を呑んでいる。

TOSHIKO= 秋吉敏子、N.Y. 在住の86歳のジャズピアニストのドキュメント。

1929年満州・遼陽で生まれ、終戦後大分県別府へ引き揚げる。
進駐軍向けのダンスホールで16歳でピアニストとしてプロになる。

1956年、日本人として初めて米・バークレー音楽院へ留学。

天才ピアニスト、バド・パウエルに傾倒し、故にコピーだとライブハウスに立てない日がつづいた。

シングルマザーになり、娘の満(Monday) を大分の姉に預けての N.Y. での苦悩の日々。


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私が20代の頃、ずっとこの STORYVILLE というマイナーレーベールのレコードを探していた。

神保町のトニーという古レコード屋、アメリカへ行ったときも中古レコード屋に足を運び秋吉敏子を探していた。

強烈なテクニックで走るバド・パウエルのピアノはスゴすぎて好きにはなれなかった。

多くのジャズミュージシャンがそうであるようにバド・パウエルもチャーリー・パーカーもビリー・ホリデイも麻薬に溺れていった。

Bud Powell in Paris という彼のラストレコーディングがある。 あの泡のように湧き出てくる旋律が別人のように、見えなかった音を探すように、葉先の滴が落ちるように一つ一つがイマジネーションを持って訴えかけてくる感じがした。やっと好きになれたパウエルの最期の調べ。

巨匠黒澤明のひとつの隙もない映画があまり好きにはなれなかった。成瀬己喜男監督のゆるい情緒の方が好きだった。
絢香の上手すぎより、Superfly の方が沁みてくる。

86歳の秋吉敏子はまだ前へ前へと進んでいる。20代の彼女より広い世界へと・・。

「wishful thinking」と彼女は言う。 Village クリックして聴いてみてください。


写真のオリジナル盤 LP をいまだ手にしていない。いつの日かふと現れるかもしれない。
by w-scarecrow | 2016-05-14 22:08 | music | Comments(0)

♪ Here Comes The Sun

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水色のギンガムチェックのボタンダウンを着たお父さん、ジーンズの色の褪せ具合が格好いい。

代官山の蔦谷書店で平積された " THE BEATLES 1 " の DVD を手に取っている。

たぶん、70歳は越えている。

眼鏡の角度を変えながらラインナップ曲を見ている。

なんか、素敵だ。 ビートルズの曲を口ずさむ戦中生まれの世代。

CD 売場でも若者たちはスマホを離さない。 スマホ売場でもきっと片手に持っているだろう。

みな、みな、下を見ながら歩いている。

ギンガムチェックのお父さんたちは高度成長期に青春時代を送っている。

みな、みな、上を見ながらその時代を生きてきた。 ビートルズと同じ時代を生きてきた。


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私はサザンオールスターズを口ずさむお年寄りになりたい。

カラオケで ♪ いとしのエリー ♪ を歌うとき ” エリー my love so sweet ” のエリーを好きな子の名前に置き変えて歌っていた情けない青春時代。

一番好きな ♪ 希望の轍 ♪ でも鼻歌混じりに歌いながら歩いていきたい。


ギンガムチェックのお父さんはレジを済ませ、ルイガレのチャリに乗って神泉方向へ走って行った。
by w-scarecrow | 2016-05-11 22:10 | music | Comments(4)

校 歌 

   ♪ この丘の ひかりかがやく空のように いつも明るいこころでと・・ ♪

桜の花の咲くころ、雨に濡れたツツジに導かれ歩くとき、壊れたようなオルガンの音がよぎったとき、ふと母校の小学校の校歌を口ずさんでいることがある。

たのしいとき、北京の空みたいな心地のとき。


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   なんとも楽しい校歌をもつ小学校がある。


                  ♪ おはようさん あら カタツムリ
                   るん るん る るん るん
                   おはようさん カタツムリ
                   宇宙人なのね 光にまみれて
                   うれしいな うれしいな
                   いらっしゃい カタツムリ
                   ここは上鷺宮小学校
                   露のおいしさ おしえてね
                   露のおいしさ おしえてね ♪ 

                                      作詞:宗左近  


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GW中に同じ校歌を歌える人と居酒屋で焼酎を呑んだ、あの文房具屋さんはまだあるの? ハンコ屋の息子は? あの煙草臭い先生はどうしてるんだろう? うさぎはもういないよね?

彼女の息子さんも同じ母校の現役小学生、「いいよね、同じ校歌を歌えるって」

いつも気を張っている働き者のお母さん、ふと ♪ この丘の ひかりかがやく空のように ♪ と、しんどいときにお母さんは口ずさむんだろうか?

東京の空、輝いています。 春っていいね。 銭湯でも行ってこっ。

                                   
by w-scarecrow | 2016-05-07 11:54 | そのほか | Comments(0)

横浜 加油!

今年も GW の野球観戦。横浜スタジアムは超満員。

ダントツ最下位の横浜 DeNA ベイスターズを応援する人々は、創立133年目の初優勝という奇跡を起こしたプレミアリーグ、レスターの熱狂的なファンと被ってしまう。

ソフトバンクの2軍と戦っても負けてしまいそうなベイスターズの打撃陣がやっとの思いで3点をもぎ取ってヤクルトに辛勝した。

お祭り(町内会の)気分で中華街へ繰り出し、乾杯


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日本人の好みに合わせた中国料理ではなく、日本で働く中国の料理人が仕事帰りに寄りそうな小さな店もあるが人数が多いときは無理だ。

横浜中華街は広東省出身者が作った街、やや甘めであんかけでとじる広東料理店の数が一番多く、大まかなくくりで上海、北京、四川料理店とつづく。

私たち一行は店員の感じの良い(希少)いつもの広東料理店・龍鳳酒家へ。

ほんとの広東料理を食べたければコース料理しかないが、なんでも食べたい一行なので単品に。

注文は女性たちに任せるに限る。

おじさんたちが注文すると町にある中華屋と同じオーダーになってしまう、「まずは生ビールに焼き餃子でいこか!」

そして春巻きシュウマイの点心類、あとは Cook Do のラインナップで青椒肉絲、回鍋肉、エビチリ、酢豚、麻婆豆腐、焼きそば、五目チャーハンという定番の AJINOMOTO 商品一覧になってしまうのは確実

女性たちの計らいで野菜も魚介も少しは広東の味を堪能できた。


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中華街の小さな料理店は例え広東や上海料理の看板を掲げても、四川料理の麻婆豆腐やエビチリ、回鍋肉といった日本人の好きなメニューに加えなければならない、味付けも日本人向けに甘く、ときに酸っぱくしている。

京料理の専門店が長崎の卓袱料理や東北の郷土料理も出しているようなもの。

中華街で食事をした中国人が感じるのは砂糖の甘味。肉まんは中国料理にはないが中華街大人気の名物店 Ed の肉まんが苦手みたい。

日本で生まれた中国料理、AJINOMOTO や丸美屋の中華料理で育ってきた私たち、たまには中国各地の奥深い郷土料理も食べたいですね。

一行の最後は酸辣湯(サンラータン・四川料理)スープで〆た。

よかった~、最後に冷やし中華が食べたい!という野暮がいなくて。
by w-scarecrow | 2016-05-05 14:05 | 散歩 | Comments(0)