winter's scarecrow

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木目

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電気が各家庭に普及する以前、行灯やロウソクの灯りのなかでの食卓、よりこころ華やかに食するための絢爛な漆のうつわや、絵付や染付の磁器のうつわが好まれ、宴席や食卓に色を放ったのかもしれない。

古の日本家屋の質素で仄暗い空間で映えるように作られていた伝統的な艶やかさをもつ輪島塗の数々。


輪島塗の塗師(ぬし)、赤木明登さんの " 風の皿 " と名付けられた八寸の漆器の皿。

ものであるはずのうつわが生命を吹き込まれ沈思黙考。

従来の輪島塗から一線を画し、普段使いの漆器をプロデュースしている。


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東京での雑誌編集者を辞め、経験ゼロの漆の世界へ飛び込んだ赤木さん。
「(バブル景気のころ)仕事は面白かったし、給料もビックリするほどもらえました。美味しいものを食べ、刺激的な人たちと出会い、旅もしました。 しかし毎日が充実していたのに本当にやりたいことがわからなかったんです」

現代の生活空間のなかでツヤを抑え、慎ましやかに映える赤木さんの漆器。


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たまには味噌田楽で一杯。

左から、高野豆腐、麩、筍、茄子。 甘めの白味噌、抹茶風味の味噌田楽、今、これを書きながら日本酒「加賀鳶」をちみちみと呑み、田楽をつまんでいる。

雪の東京、寒かった~。 
by w-scarecrow | 2015-01-30 20:06 | 食 + うつわ | Comments(2)

香り

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            小さな娘が思ったこと



                  小さな娘が思ったこと
                  ひとの奥さんの肩はなぜあんなに匂うのだろう
                  木犀みたいに
                  くちなしみたいに
                  ひとの奥さんの肩にかかる
                  あの淡い靄のようなものは
                  なんだろう?
       
                  小さな娘は自分もそれを欲しいと思った
                  どんなきれいな娘にもない
                  とても素敵な或るなにか・・・・・

                  小さな娘がおとなになって
                  妻になって母になって
                  ある日不意に気づいてしまう
                  ひとの奥さんの肩にふりつもる
                  あのやさしいものは
                  日々
                  ひとを愛してゆくための
                  ただの疲労であったと


                                       茨木のり子 1958年



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明け方の夢のなか、お袋と姉の会話が遠くに聞こえる。

テレビの時事放談のおじいさんたちの講談口調の政局の話がずっと流れている。

 『僕はどこにいるんだろうか?』

出かける兄貴たちにお袋が壊れたテープレコーダーのように「ちゃんと××は持ってるの? ××は忘れてない!」
そんな朝の情景が音となり重なってくる。

「w坊もさっさと起きなさい!」
「日曜だから、ゆっくり寝てなさい」と親父の声。

そんな、せわしない小さいころのわが家の夢をみることがある。 

日曜の朝は家族七人、豆腐屋で買ってきた経木に包まれた納豆、それを玉子でのばした納豆に豆腐の味噌汁と決まっていた。

そんな音が行き交う夢をみた朝は幸せな気分になれる。 


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by w-scarecrow | 2015-01-24 20:52 | そのほか | Comments(2)

ツン

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最近、下北沢にあるこのBAR が気になる。 高田純次的バー。

「バストを測ったことないの?オレの右手はメジャーになってるよ」 「キミのその下着、食べられるやつ?」

「この間、伊代ちゃんと仕事をしたら、伊代ちゃんはもう16歳ではなくなってたんだ」

こんな会話が交わされているんだろうか?

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千疋屋のスペシャル・パフェ(¥1800くらい)を食べたくてしょうがない、でもお店の扉を開けることができない。
一人で窓際の席に通されて、ペロペロと生クリームを舐めている自分の画を想像すると、無理だ。

江戸末期、西郷隆盛が水菓子屋の千疋屋へ買い物に来たと聞くが何を買っていったんだろう。


上野公園の西郷像、3頭身の山下清みたいな西郷さんの連れている薩摩犬の愛犬ツンが好きだ。名前も洒落ている。

モカだとかココア、バニラより「ツン」の方が凛々しい。 つん。

日本の田園風景にはプードルもポメラニアンもブルドックも似合わない。やはり威風堂々とした日本犬がマッチする。


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東京散歩、土地の由来を調べると江戸の中心から少し離れれば将軍たちの鷹狩をした場所が至るところにある。
生類憐みの令以降、一時途絶えたらしいが将軍たちは皆、鷹狩が大好きだったみたいだ。

浦賀に黒船が現れて、やっと鷹さんたちと遊んでいる場合じゃないと気づき、鷹場を練兵場にし兵術を学ばせ始めた。

目黒の鷹場で初めて下々の食、サンマを食べ感動した将軍。 下々の食べ物しか食べていないので是非、千疋屋のスペシャル・パフェが食べたい。


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「高田さんいい体してますね。何かやってたんですか?」の質問に「将棋」
by w-scarecrow | 2015-01-22 20:46 | 散歩 | Comments(2)

ひかり

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              おてんとうさまは?

              ビルの陰に隠れたときに さっきまでそこにいたんだと気づく

              おてんとうさまは 薄く雲がかかっていても自分を探し笑顔をふりまいてくれる

              花たちが好きだ


              日傘をさし つばの長い帽子をかぶり 色めがねをかけ

              目も合わすことなく 迷惑がられている

              影が長くのび それが重なり合うころ

              やっと 目を細めながらおてんとうさんを見てくれる

              西の空に姿を消したころ やっと存在を想いおこしてくれる

              淋しいかな 都会の人たちには そこにいて当然の物なのかもしれない



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あれから20年の歳月が流れた。

迫りくる炎を前に瓦礫の中の父が叫ぶ「もう逃げろ あとのことは頼んだぞ」

想いを寄せていた人から「結婚、私はOKだよ。待ってた。明日逢って話そう」と、喜び勇んで迎えた翌朝、テレビから流れた映像。

大阪から原付バイクをとばして崩れた街のなかを走り、やっと待ち合わせ場所の三宮まで「彼女は生きている」と言い聞かせながら止まった時間を待つ。

数時間も原付を走らせ、道を塞ぐ火のくすぶった家々の残骸の間を手で押し、黒煙に覆われた彼女の住む町へ。


「共に生きて、なぜ自分だけが生き残ったのか」
もがいても、もがいても「なぜ?」の言葉がつきまとう。答えの出ない自問の日々、早く時が過ぎ去ってほしかった。

津波に遭われた方も同じ思いなのかもしれない。
そんな大切な人を失った被災者の言葉を聞きながら、自分の身に置いてみた。


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by w-scarecrow | 2015-01-18 20:50 | そのほか | Comments(0)

君の涙になってやる

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「男のくせにツラでめしを食うなて好きじゃない」と役者稼業を嫌った。

撮影部を希望した履歴書が手違いで俳優志望係へ届いたことから名優・三船敏郎の役者人生が始まった。

男の体臭を振りまくような強烈な演技、一世のスターになっても本人は「役者なんて」という思いが消えなかった。

『 含羞 』(がんしゅう)という好きな言葉がある。恥じらい、はにかみを意味する。

三船さんには付き人がいなかった。早朝、三船プロの玄関先を掃除しているおじさんは三船自身。

台詞を完璧に覚えて現場に立ったのも「人に迷惑をかけるのは恥ずかしい」という三船さん含羞だったのかもしれない。


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『 男気 』

かつて球場に「君が涙を流すなら、君の涙になってやる」と横断幕を掲げた広島カープファン。

いつでも広島に帰れるよう毎年、メジャーで単年契約を重ねてきた黒田博樹投手、彼の背番号だった[15] を空けたまま待ち続けた球団。

メジャーの提示額の5分の1の年俸でカープに帰ってくる。

もらい泣きしそうなくらいの愛がファンと球団と選手との間に流れている。 野球っていいな。


新成人になった君たちよ、これからは「つるむな」。
by w-scarecrow | 2015-01-15 20:15 | そのほか | Comments(0)

待合室

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金曜日、月一回の近くの医院での診察日。

月刊・PEN " おいしいイタリア " という雑誌を眺めていたら、イタリア人の懐かしき「マンマの味」と題したパスタ料理が載っていた。

簡単で美味しそうなのでレシピを頭に入れ、今朝作ってみた。

                    

                 ブロッコリーと真鱈のパスタ


材料はブロッコリーと真鱈、コンキリエリガーテ、にんにく、鷹の爪、EXバージンオリーブオイル、白ワイン、塩・コショウだけ。


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医院の待合室、診察してもらうまでは平均50分は待つ。

いつも綺麗な医療事務のおねえさんの席の斜め前に座る。 雑誌を眺めながらおねえさんをチラ見。

いつものように頭のなかでラブストリーが湧き上がってくる。

江戸末期、小石川養生所に奉公に出されたおねえさんは、いつものように林のなかで薬草を採っている。そこを通りかかったお侍さん(私)、私の鼻緒が切れてしまう。「お侍さん、しばしお待ちくださいませ・・・」

昭和20年東京大空襲、焼夷弾が炸裂するなか、春樹(私)はやっとのことで銀座・数寄屋橋に辿り着く、春樹と一緒に瓦礫のなかを逃げてきた女性(おねえさん)と夜が明けるまで寒さをしのぎ合う。
「半年後、いやそれが駄目だったら一年後、またこの橋の上で」
「君の名は?」「真知子です」。

待合室で毎回、ドラマのなかを彷徨っている。

おねえさんが伊豆の踊子になることも、" ローマの休日 " の新聞記者のグレゴリー・ペック(私)とヘップバーンになることも、" 東京ラブストリー " のカンチとリカになることもある。

今回は 「 SMAP 細胞はあります・・・」 守ってあげたいモード ?!

50分の待ち時間、ちょうど一話が完結する。

そんな楽しい待合室過ごし方、是非、真似をしてみてください。
by w-scarecrow | 2015-01-11 20:18 | 食 + うつわ | Comments(0)

春の七草リゾット

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今年一年無病息災息災で、そんな願いを込めて今朝、春の七草リゾットを作った。

七草だけだと野草俳優・岡本信人みたいなので、それにパルメザンチーズを混ぜ、鮭の親子をのせてみた。

白だしに少しばかりの白味噌の仕立て。

正月の酒と餅の食べ過ぎで疲れ切った胃腸に、詫びを入れ口にした。


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いつも印刷屋の見本みたいな年賀状しか送ってこなかった以前の仕事仲間。

今年は雪景色の中で撮られた家族3人の写真、「娘が春から東京の大学に行くことになりました」と書かれてあった。

温泉に浸かったカピバラみたいなお父さんの容姿とは違って、奥さんに似たのか凛々しい顔立ちの娘さんだった。

その娘さんが生まれるとき、彼は浮かない顔をしていた。
「かみさんが、出産のときに立ちあってくれって言うんだよ・・・ヤダとは言えないから『ああ』って答えちゃった」

彼は分娩室も手術室も入るだけで緊張感が増幅してしまうし、一緒にハアハアフーフーしていたら自分の方が貧血で倒れてしまうかもしれないと口にした。

「w 、お願いなんだけど出産のとき俺に代わってさ、うちのかみさんの手をずっと握っていてくれないか?」

そんな彼はそれから暫くして家族3人で信州に転居し、実家の稼業を継いでいる。

あのときの児がもうこんなに大きくなったんだ。


今日七日は一年で最初に爪を切る日とされているらしい。

ナズナを入れた茶碗の水に指を浸して爪を切る " 七草爪 " は邪気を払うおまじないらしい。

私には数えきれない邪気が付いているのでやってみることにする。 でもどの草がナズナなんだろう?
by w-scarecrow | 2015-01-07 09:14 | 食 + うつわ | Comments(4)

まだまだお屠蘇気分 ♫

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退屈過ぎて・・・
ニューイヤー駅伝も箱根駅伝も終わったし、録画しておいた落語も見飽きてきたし・・・

数時間もランナーたちの走っている姿を眺めていると、余計なことに気が回る、先導の白バイ隊員は少しメタボ過ぎではないか(糖尿の気は?)・・とか、彼の家族はお父さんの雄姿を Live でちゃんと観ているのだろうか?

もしかしたら皆でディズニーランドへ行っているのではないか? 
横浜タカシマヤで買った和牛のローストビーフを頬張りながら、見飽きたお父さん顔を眺めているのかもしれない。 
いや、お笑いの番組にチャンネルを替えているかも・・・

毎年、箱根駅伝を観ながら腹を立てているのが各大学の監督が乗っている伴走車、昔は自衛隊のジープを使っていた。
一時は廃止されたが、またスピーカーの付いた伴走車から監督のダミ声が聞こえる。
まるで選手は馬車馬のよう、死力を尽くして走る選手が可哀想だ。

監督の伴走車とチリ紙交換の軽トラが遭遇しないかなと毎年考える。♪ ご町内の皆さま、ご不要になった古新聞、古雑誌・・『脚の蹴りが悪くなったぞ!』・・トイレットペーパーと交換いたします ♪・・『腕を高く振れ!もっとだ』


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正月は " 寅さん " を観て一年が始まるのが恒例だが、寅さんが旅に出てから19年の歳月が過ぎた。

初詣は柴又帝釈天でも行こうかなっと思ったが、退屈過ぎて足腰が弱っている。

柴又駅前には寅さんの銅像、亀有駅前には " 両 " さんの銅像。

どうも葛飾区にはガサツな男が暮らしているイメージが拭え切れない。

テキ屋稼業の渡世人と国家権力の一翼を担うお巡りさん、この二人は対照的ではなくそっくり。

いい年をした独身のおっさん同士、とにかくやりたい放題引っ掻きまわすのが二人の手口。


暫く行き当たりばったりの旅をしていない。
寅さんみたく大きなトランクを持ち「皆、達者でな!」と旅に出たいのだが止めてくれる妹がいない。

あ~退屈だ。  妹がほしかった。
by w-scarecrow | 2015-01-04 16:44 | そのほか | Comments(0)

ひつじ

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                    あけましておめでとうございます



帰り道、いつもと違う小道へ入る。

小さな女の子とお姉ちゃんらしき子がボール蹴りをしていた。助走をつけて蹴ろうとするが歩数が合わない。
「すみません」とお姉ちゃん、私の通る間、蹴るのをストップしてくれた。

楽しそうに笑いこける声が寒さを忘れさせてくれた。

今年はどんな道を歩くのだろう・・・。

「この道しかない」なんて決めつけないで、時に振り返って、足元を確認して、また前へ。

ゆっくりと景色を眺めながら歩いていきたい。

そんな散歩にまたお付き合いください。

                                   2015 元旦
by w-scarecrow | 2015-01-01 12:29 | そのほか | Comments(8)