winter's scarecrow

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外は白い雪の夜  


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                    大事な話が君にあるんだ
                    本など読まずに 今聞いてくれ
                    ぼくたち何年つきあったろうか
                    最初のに出逢った場所もここだね
                    感のするどい君だから
                    何を話すかわかっているよね
                    傷つけあって生きるより
                    なぐさめあって 別れよう
                    だから Bye-bye Love
                    外は白い雪の夜

                    あなたが電話でこの店の名を
                    教えた時から わかっていたの
                    今夜で別れと知りながら
                    シャワーを浴びたの 哀しいでしょう
                    
                    サヨナラの文字を作るのに
                    煙草 何本並べればいい
                    せめて最後の一本を
                    あなた喫うまで、支えてね
                    だけど Bye-bye Love
                    外は白い雪の夜

                    客さえまばらなテーブルの椅子
                    昔はあんなににぎわっていたのに
                    ぼくたち知らない人から見れば
                    仲のいい恋人みたいじゃないか
                    
                    女はいつでもふた通りさ
                    男を縛る 強い女と
                    男にすがる弱虫と
                    君は両方だったよね

                    あなたの瞳に私が映る
                    涙で汚れてひどい顔でしょう

                    最後の最後の化粧するから
                    私を綺麗な思い出にして
                    席を立つのはあなたから
                    後姿を見たいから
                    いつもあなたの影を踏み
                    歩いた癖が直らない
                    
                    Bye-bye Love
                    そして誰もいなくなった
                    Bye-bye Love
                    そして誰もいなくなった


                                詩:松本隆  作曲:吉田拓郎



吉田拓郎が憧れ師としたノーベール文学賞受賞者のボブ・ディラン、時代の流れをつくった孤高の人。 
でも歌詞はそんなに文学的ではなく言葉の比喩と、ストレートな表現のインパクトが強かったような気がします。

♪ 外は白い雪の夜 ♪ 松本隆さんの詩です。
どれだけこの曲を聴き、のたまわったか。 青春時代の自分勝手でろくでもない私の姿が映ります。

「そして誰もいなくなった・・・」






 
こんな、こころ打つアンサーソングの詩を書いた、松本隆さんに私からのノーベル文学賞を。

飲み屋のカウンター、おじさんたちの会話「おまえ、まさかインスタやっんの?」、だぶん同級生の仲間「あれだろ、お湯をかけ3分待つやつ、たまに・・」
軽い返しが、最近のキュンとした出来事でした。
          


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by w-scarecrow | 2017-06-10 05:44 | 映画 | Comments(0)

素敵な笑顔


渋谷駅西口の再開発、思い出多き一帯が消えてゆく。
千円札一枚でアサヒビールの大瓶2本とタコぶつの刺身でお釣りがもたえたころ。

いつも行っていた " 山形 " という居酒屋、奥の宴会で飲み残したビールをサッと、店員のおじさんが私の席の横に並べてくれた。
「がんばれ、若者」とでもいいたげに・・。 「いいから呑め」の優しい無言の合図。 



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この人の笑顔がいい。
目尻が、髭が笑う。
アニメ監督の宮崎駿さんの顔のつくりが全部笑っている。

宮崎さんは児童文学から大きな影響を受けてきた。
最も影響を受けた作品は、思春期の少年たちの世界を描いたケストナーの「飛ぶ教室」という。
ヒトラーが台頭する時代、「何が正しいかを判断しようとするとき、途方もない困難に出会う。そんなときどれだけ自らの存在を懸けてぶつかってゆくこそが人生だ」と暗黒への時代と向かう世界への警告。

宮崎作品に通じるものがある、普通に生きているのに、大きな力にさらされ迷路に入ったように生き惑う。
そして惑い葛藤したとき、やがて今までの暮らしへと・・・。
日々の営みが無性に愛おしく思える。

あの優しい髭の監督の笑顔の裏に風潮に、時流に流されてはいけないという強いメッセージがいつも含まれている。

ケストナーの時代と同じく宗教、人種、民族、今の欧州の大統領選でも同じ、きな臭さが感じる、排除の論理。


宮崎駿監督と同じ映画の世界で育ってきて、決して曲げない信念に敬服する。
映像で携わった物造りの被写体の人たち、一途な(アーテイストではなく)職人たちと出逢ってきた。

時流に流されない粋な職人たち。  




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衣替えの季節になった。
桜の花の塩漬けの桜茶を飲んで春を味わった。

そろそろ新茶の季節となってきた、寅さんが生きていたなら柴又へ帰って草団子を食べてひと悶着を起こす季節になってきた。

食いたっ、草団子。 大好きな滋賀の煎茶朝宮茶と共に。






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by w-scarecrow | 2017-04-22 04:41 | 映画 | Comments(0)

旅情

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         20歳の顔は自然からの贈り物 50歳の顔はあなたの価値  ココ・シャネル 
                               

訳あって先日、イギリス映画界の巨匠デヴィット・リーン監督の列車物の名作2本を観た。
1955年製作の " 旅情 " 。

アメリカの片田舎で秘書をしている40歳に近づこうとしている主人公キャサリン・ヘップバーンは念願の欧州旅行に出る。オリエント急行でのベニスまでの旅。

ペンショーネに着くなり、「私はもうおばさんよ」、女主人「年齢は財産だわ」「じゃあ財産家ね」と負い目を見せる。
ベニスで恋に陥るのだがイタリア人の男は妻子持ち。

最後まで主人公のなかでは「私はもう若くない」というワードがつきまとう。 再び観てみて時代性なのかベニスの情景も相まって、気骨ある女性が美しく輝いてみえた。


もう一本は1945年製作の名作 " 逢びき " 。
人妻のローラ(シリア・ジョンソン)は妻子のいる医師と小さな駅で出会う。
二人は毎木曜日の午後、ランチを食べ映画、郊外のドライブへと密会を重ねてゆく。

決して一線を越えないのだが、こちらがどきまぎする程不器用に振る舞う。 二人は身もだえし、雨の中を走り廻り錯乱する。
妄想の中での二人の世界を遊ぶ、背後では日常が定刻通りに流れている。

" 旅情 " のキャサリン・ヘップバーンは感情の高まりを自制し、ベニスを後にする。
ローラは固い決心や強い意志の持ち、錯乱の深みにどんどんとはまってゆく。


列車物の映画は名作が多い、ポーランド映画の " 夜行列車 " " 見知らぬ乗客 " " 終着駅 " " リスボン特急 " 。

日本では列車物は少ない、高倉健の " 駅 " 。 CMではJR東海の山下達郎の名曲 ♪ きみはきっと関西人 そうでんなほうでんな ♪ の流れる新幹線ホームでの恋人たちが筆頭かもしれない。

二人の強い女性の恋愛映画を立てつづけに観たので、切り替えに " 小さな恋のメロディ " が観たくなった。


いつも思うのだが何故世の中のお母さんたちは、番組で芸能人が町を歩いているとススッと近づいてきて「あっ、ずっとファンなんですぅ??」「いつも観てます??」「握手していいですか!!」となんで報告したり触れたがるんだろう?

大阪のおかんたちは「何チャン?」と初めに訊き、相撲取りに触るようにあちこちとマーキングをしてゆく。

おかんたちにも映画 " 旅情 " のキャサリン・ヘップバーンのよう凛とした女性の姿を見てほしい。
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by w-scarecrow | 2015-09-15 08:38 | 映画 | Comments(2)

滑走路

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アメリカ北東部の小都市の空港、シカゴ行きのフライトの出発時間まで、長い滑走路を眺めていた。

小型機が何機か停留している。 

その機影の中から歩く人影が逆光でシルエットに映った。

牛皮のフライトジャケットを着たサム・シェパードが長い滑走路を歩いてくるような錯覚をよんだ。

フィリップ・カウフマン監督の映画 " ライトスタッフ " のテストパイロット役のサム・シェパードの無骨なアメリカ人と重なって見えた。




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Sam Shepard










初めてS.Shepardを観たのは敬愛するテレンス・マリック監督、リチャード・ギア主演の " 天国の日々 "
余命宣告をされた農夫役、その存在感に打たれた。

彼はピューリッツァ賞を受賞した劇作家、そして M. アントニオーニ監督の " 砂丘 "  W. ヴェンダース監督の " パリ テキサス " の脚本も書いている。
イリノイ州で生まれ、軍人だった父と家族とともに、サウスダゴタ、ユタ、フロリダ、グァムの米軍基地の街で育った。
死と隣合わせのテストパイロットのストイックさが彼の経験のなかの一頁にあったのかもしれない。

高倉健さん逝去のニュースで、私のなかでの数少ない名優サム・シェパードの画が甦ってきた。


東宝撮影所、健さんの出番前、持参のコーヒーを健さんに持ってゆくのが下っぱの私の役目だったことがあった。
健さんは「ありがとございます」と毎回、深くお辞儀をしてくれた。

実現はしなかったと想うが福岡の炭鉱町で育った健さん、生地ではないが博多どんたくに全霊をかけるおしゃべりな魚屋の親父役で軽いコメディーでも演じてほしかった。

健さんが書いたエッセイ集、" あなたに褒められたくて " 小田剛一(本名)少年の厳しかった母親へのオマージュに感じた。

「不器用ですから・・」の台詞をお借りしたことがあったが、「w さん、わたしよりずっと器用じゃん」と軽く返された。
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by w-scarecrow | 2014-11-19 21:24 | 映画 | Comments(9)

私的日本映画史

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昨年の1月に "私的世界映画史” という今まで影響を受けた世界の映画作品をラインナップさせてもらいました。

一年後、今度は日本映画を年代順にラインナップいたします。

昭和の薫りがプンプンする名画座でむさぼるように観た古き映画作品。

洋画からは夢をもらい、邦画からは辿ってきた道や現実を目にし、学校の授業の何十倍もの詰まったテキストを開いたような日々。

戦前から昭和までの好きな日本映画の数々、ここには書ききれない名作、いぶし銀のような小作品もありますがまたいつの日か取り上げさせてもらいます。


★ 祇園姉妹    1936年 溝口健二監督作品 出演:山田五十鈴

★ 人情紙風船   1937年 山中貞雄監督作品 出演:河原崎長十郎

山田五十鈴の艶やかで小粋な演技の ”祇園姉妹”、山中貞雄監督の斬新な表現力、日中戦争当時に作られたとは思えぬ完成された作品。


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 酔いどれ天使  1948年 黒澤明監督作品 出演:三船敏郎、志村喬
★ 野良犬       1949年 黒澤明監督作品 出演:三船敏郎、木村功

終戦から "酔いどれ天使” までの3作品は穏やかな市民像を描いた松竹映画のような作品、これ以後黒澤さんのコアな部分がくっきりと見えてくる。

★ 麦秋        1951年 小津安二郎監督作品 出演:原節子、佐野周二




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★ めし         1951年 成瀬巳喜男監督作品 主演:原節子、上原謙
★ 山の音       1954年 成瀬巳喜男監督作品 出演:原節子、山村聡
★ 浮雲         1955年 成瀬巳喜男監督作品 出演:高峰秀子、森雅之


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今村昌平監督が松竹の助監督時代、あんな凡長な家族劇ばかりを作っている小津さんの下にだけは付きたくなかったと語っていた。
木下(恵介)組は美男子の優男以外は無理だったとも。
その後、松竹の有能な助監督は活気づく日活映画へ移籍し、監督となって名作の数々を作ってゆきます。

”麦秋” の麦畑が風にたなびくラストシーン、白黒の画がまるで色の付いた画像に見えてくるようで心に残っています。

「やるせなきお」と呼ばれていた成瀬巳喜男監督。 小津さんとは似ていて非なる作品群、しっとりとした情緒感や人々の機微の描き方がやみつきになります。
”浮雲” の森雅之の淡々とした語り口、高峰秀子の強さと引き替えの脆さ、沁みいってきます。



★ 洲崎パラダイス 赤信号  1956年 川島雄三監督作品 出演:新珠三千代、三橋達也、芦川いづみ
★ 幕末太陽伝     1957年 川島雄三監督作品 出演:フランキー堺

私の中で最も好きな監督の小作品、川島雄三監督自身も思い入れの強かった ”洲崎パラダイス”、 売春防止法施行直後の東京、勝どき橋の上で「これから何処へ行こうか」と思案している二人、やってきたバスに乗り、洲崎パラダイス入口で下車する二人、儚く切ない底を見てきた男と女の物語。そば屋の店員役の芦川いづみが美しかった!

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★ 炎上          1958年 市川崑監督作品 出演:市川雷蔵

★ 太陽の墓場      1960年 大島渚監督作品 出演:津川雅彦

★ 武士道残酷物語   1963年 今井正監督作品 出演:中村錦之介

★ にっぽん昆虫記   1963年 今村昌平監督作品 出演:左幸子
★ 赤い殺意        1964年 今村昌平監督作品 出演:春川ますみ

★ 月曜日のユカ     1964年 中平康監督作品 出演:加賀まりこ

★ 侍            1965年 岡本喜八監督作品 出演:三船敏郎


市川雷蔵の瑞々しさ、市川監督作品の宮川一夫カメラマン、大映技術スタッフの素晴らしさに溜息が出ます。国宝の金閣寺ではなく当時の大映京都の活動屋に無形文化財の称号を与えたい程の芸術の結晶です。

そして今村作品を初めて観たときの驚き、”月曜日のユカ”の加賀まりこの可憐さ、共演の中尾彬の芝居の下手さが愉しいです。
独立プロ製作の今井正監督作品の中村錦之介の迫力に圧倒されます。すごい!

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★ 日本列島        1965年 熊井啓監督作品 出演:宇野重吉、二谷英明

★ 飢餓海峡        1965年 内田吐夢監督作品 出演:三国連太郎、伴淳三郎、高倉健

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★ 私が棄てた女      1969年 浦山桐郎監督作品 出演:浅丘ルリ子、河原崎長一郎 

★ 沖縄            1970年 武田敦監督作品 出演:地井武男、佐々木愛

水上勉原作の 〝飢餓海峡” を16mm フィルムで映画化した名作、何故名匠内田吐夢監督に35mmで撮らせてあげられなかったのだろうと痛感します。
伴淳三郎の名演に打たれた作品、黒澤監督の ”どですかでん”でもピカピカに輝いていました。

1960年代まででこれだけの行数になってしまいました。 1970年代、日本映画の衰退期、そんのなかでも光る作品がいくつもありました。

"寅さん”48作品も毎年、新年の愉しみで観てきました。 眠くなった(下條さん)おいちゃんが「おい!マクラ、悪いけどサクラ取ってくれ!」名台詞、今でも想い出しフッと笑ってしまいます。

また次の機会に’70年代以降の映画をupしたいと思います。
全く偏った私的日本映画史、最後まで目を通していただきありがとうございました。
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by w-scarecrow | 2012-01-15 00:40 | 映画 | Comments(4)

春。 天使になった。

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『ハトなんか怖くないぞ。 君の肩にとまったのは、きっと君のことが好きなんだよ。 そんなムキになって怒らなくても、君の背中には強力な味方がいるだろ・・』

春の気配を感じる土曜日。 走り回る子供たちを眺めながら天使のように話しかけている。


子供は子供だった頃
腕をブラブラさせ
小川は川になれ 川は河になれ
水たまりは海になれ と思った

子供は子供だった頃
自分は子供とは知らず
すべてに魂があり 魂はひとつと思った


ヴィム・ベンダース監督の"ベルリン天使の詩"は、ペーター・ハントケのこんな詩から始まる。
私と一緒で美しい天使ではなく、よれよれのオッサンの天使ダミエルから見た人間の世界はモノクロで描かれている。
人間からは天使は見えない。 でも子供たちからは天使が見えるので、ダミエルは時折手を振ったりしている。

天使は人間の心の声を聞くことができるので、図書館へ行き読書をしている人の傍らに寄り添い、詩や物語を共に読み(聞き)共に感動し、人間に憧れを持つようになってくる。

街で出遭ったピーター・フォーク(本人役)からウィンクをされ話かけられた。
君の姿を見ながら一緒に話がしたい、煙草を吸い、コーヒーを飲み、絵を描き、物に触れ・・・。
元天使だったピーターは人間の素晴らしさを説いた。

やがてダミエルはサーカスの曲芸師マリオンに恋をする。 彼女から見えることができる人間になりたいと願う。
天使は恋をするのはご法度、恋をすると死を迎える。ダミエルは天使仲間の腕の中で死ぬ。

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子供は子供だった頃
いつも不思議だった

なぜ 僕は僕で 君でない?
なぜ 僕はここにいて そこにいないの?

この世で生きるのは ただの夢
見るもの 聞くもの 嗅ぐものは
この世の前の世の幻

悪があるって ほんと?
悪い人がいるって ほんと?
いったい どんなだった
僕が僕になる前は?

僕が僕でなくなった後
いったい僕は 何になるの?

ダミエルはベルリンの壁の前で目を覚ました。 彼から見た世界はカラーになっていた。

「時に癒される? でも時が病んでいたら・・?」 そんな台詞があった。
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by w-scarecrow | 2011-03-19 22:30 | 映画 | Comments(4)

私的世界映画史

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年が明けて2日目、ゆったりと以前に録画した映画を観ていました。

今まで観た外国映画でどの映画が響いたのだろう、感動したんだろうと考えながら整理してみました。

かなり偏屈な見方をするので、リストアップした作品を見て??と思われるかもしれません。
カメラや照明、アングル、音と音の構成、美術、演技のコントラスト・・・等々、ストーリー性にはあまり捉われず観てきました。

私が動かされた監督、感銘を受けた作品をアトランダムに並べてみました。
アメリカの名匠と言われる監督の殆どが第二次世界大戦中にヨーロッパから逃れてきた人々や、ハリウッドに請われて来た監督が多いので少なくなってしまいました。

★はベテラン(故人も)   ☆は私的名匠と分けてみました。

EUROPE                                            

★ クシシュトフ・キェシロフスキ(Poland)  「デカローグ」 「トリコロール 三部作」 「ふたりのベロニカ」
★ ヴィクトル・エリセ(Spain)   「エル・スール」
★ ヴィム・ベンダースGermany)  「さすらい」 「アメリカの友人」 「パリ、テキサス」
★ テオ・アンゲロプロス(Greece)   「旅芸人の記録」 「シテール島への船出」
★ パトリス・ルコント(France)   「橋の上の娘」
★ ケネス・ローチ(U.K.)    「マイ・ネーム・イズ・ジョー」 「ケス」
★ アキ・カウリスマキ(Finland) 「浮雲」  「マッチ工場の少女」
★ ニール・ジョーダン(Irland) 「モナリザ」 「スターダスト」
★ アラン・タネール(Switzland) 「白い町で」

                 ☆ ミケランジェロ・アントニオーニ(Italy) 「さすらい」 「夜」 「太陽はひとりぼっち」
                 ☆ アンジェイ・ワイダ(Poland) 「灰とダイヤモンド」
                 ☆ イェジイ・カヴァレロヴィチ(Poland)  「夜行列車」
                 ☆ キャロル・リード(U.K.) 「フォロー・ミー」
                 ☆ ルイ・マル(France) 「鬼火」 「ルシアンの青春」
                 ☆ サボー・イシュトバーン(Hungary) 「メフィスト」
                 ☆ ルキノ・ヴィスコンティ(Italy)   「若者のすべて」

U.S.A

 テレンス・マリック   「天国の日々」
★ フィリップ・カウフマン  「ミネソタ大強盗団」 「ライト・スタッフ」
★ テリー・ギリアム(U.K.)   「フィッシャー・キング」
★ リンゼイ・アンダースン(U.K.)  「八月の鯨」

                 ☆ ビリー・ワイルダー          「サンセット大通り」 「深夜の告白」
                 ☆ ロバート・ロッセン           「ハスラー」 「ボディー&ソウル」 「オール・ザ・キングスメン」
                 ☆ ニコラス・レイ             「夜の人々」
                 ☆ スタンリー・キュブリック(U.K.)   「ロリータ」
                 ☆ シドニー・ルメット           「質屋」 「旅立ちの時」




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戀戀風塵

侯考賢監督作品






ASIA

★ 侯考賢(台湾)  「戀戀風塵」 「非情城市」
★ 楊徳昌(エドワート・ヤン 台湾)  「牯嶺街殺人事件」
★ 許鞍華(香港)  「望郷・ボートピープル」
★ 王家衛(香港)  「欲望の翼」
★ トラン・アン・ユン(ベトナム)  「青いパパイヤの香り」

中国にも陳凱歌、田壮壮など素晴らしい監督が多いのですが、割愛しました。北京五輪開会式の張芸諜の演出を観て失望してしまった。
かつて呉天明のもと西安映画製作所で政府の厳しい検閲の中でも、自由な表現方法で映画製作をしてきた多くの若手監督の作品を観てきた人々も同じ思いを抱いているかもしれません。

自分の中で強く刺激を受けた監督たちの作品群、長々とupしてしまいました。
字を見ているだけで疲れたことと想います。 また懲りずに日本映画版をいつかupするつもりです。
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by w-scarecrow | 2011-01-02 22:34 | 映画 | Comments(8)

the weight

日曜日、たまには歩かなければと代官山までの散歩。
東大リサーチセンター(宇宙研)から山手通りに抜ける道がなかなか楽しい。 
木造平屋建の"フレッシュネス・バーガー" 1号店がアメリカの鄙びたダイナーみたいで嬉しい。
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                                                 【川合優(京都)杉薄板】
旧山手通り沿いにある代官山フォーラムの2階、"IL PLEUT SUR LA SEINE"(イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ)へ。
明日の試験に出る問題だと分かっていても絶対に覚えることのできない店名。"セーヌ川に降る雨"とう意味らしい。
目的のガトー・バスク2個とシュークリーム、ミルティーユを買ってきた。

正統派のフランス菓子店、焼菓子、パンも並んでいる。 どれも美味しかったが場所柄、値段は高い。
ガトー・バスクを求めて吉祥寺、高幡不動のシェフ・フジウと試したが吉祥寺南口の"レピキュリアン"のガトー・バスクが今までのなかでは一番だった。
今度は京王線の下高井戸の店へ行ってみようと思う。

THE BANDの"The Weight"という曲が大好きだった。
映画"Easy Rider"ではジミ・ヘン、ステッペン・ウルフの曲が挿入歌として使われ、"weight"もアメリカの荒野を走るバイクに被さり流れていた。 
生きることの重み、"weight"。

Dennis Hopper(デニス・ホッパー)が亡くなった。74歳。
ジェームス・ディーン主演の『理由なき反抗』『ジャイアンツ』に出演、Win Wenders監督の大好きな作品『アメリカの友人』でも独特の怪しさで演じていた。

D.Hopperの初監督作品『Easy Rider』を観たのはリバイバル上映のとき、アメリカのフラワー・チルドレン、ウッドストック、ベトナム戦争の泥沼化、'60後半の迷えるアメリカを象徴する映画だった。
アメリカは、世界はどこへ向かってゆくんだろう・・。 
ハリウッドのスターシステムの映画作りは衰退し、「お後がよろしいようで・・」のハピー・エンドの映画は行き詰っていた。
この映画の数年後、N.Yで映画作りをしていたマーティン・スコセッシたちのN.Y派が強烈な個性を持って凌駕する。

D.Hopperは写真家としても特異な作品を残している。 ジェームス・ディーンを撮った写真の作品展も開かれていた。
大戦後のアメリカの輝いていた時代、マッカーシズム、J.F.K.の少しばかりの希望を抱いた時代、マーティン・ルーサー・キングの非暴力公民権運動のうねり、そんな時代を生きてきた。
既存の思想、道徳、宗教に不信を抱き、アメリカ文化の俗物性に絶望してきた男。
♪ take a load off fanny, you can put load right on me ♪

日本では上映されなかった監督作品"Out of Blue"、家庭環境に恵まれない少女の壊れゆく話、D.Hopperの底に流れているものを感じた秀作だった。
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by w-scarecrow | 2010-05-31 18:23 | 映画 | Comments(8)

長い冬

1962年のフランス映画の傑作" Un Singe en Hiver" 『冬の猿』 当時、日本では配給されなかった作品。 
'80年代後半にやっとリバイバル上映されたアンリ・ヴェルヌイユ監督の代表作。
同じくジャン・ギャバンとのコンビで撮った『ヘッドライト』の陰に隠れてしまった作品。
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名優ジャン・ギャバンと新星ジャン・ポール・ベルモンドの新旧スター共演のエポック的な作品。
小作品ではあるが、そんな中にこそ名作が隠れている。 

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J.ギャバン演じる安ホテルの主、若い時は放埓に生き、酒びたりの日々を送っていた。
ドイツ軍の空襲があったときも決してグラスを離すことはなく、砲火のなかを千鳥足で彷徨っていた。

若き日に水兵として中国へ赴き、その時の強烈な東洋の想い出を来る日も来る日も壊れたテープレコーダーのように語っていた。

そんな夫を案じた妻との約束で15年間、酒を断っている。

過去への郷愁にも似た気持ちを内に閉じ込め、静かに人生の冬を迎えようとしていた主。

そんな時、この安ホテルにJ.P.ベルモンド演じる男がやってきた。
着くなり、酒を出してくれと頼むがこのホテルには酒はない。
こんなシケたホテルで酒を呑んでも美味くはないと、街へくりだすベルモンド。

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酒に酔ったベルモンドは酒場のテーブルの上でフラメンコを踊り、路往く車には闘牛士にように挑んでゆく・・。

ノルマンディーの寒々とした港町、この街にある寄宿舎にいる愛娘を連れ戻しにやってきたベルモンド。
自分と同じように過去を拭いきることができず、その重みに潰されそうになっている若い男にギャバンは自分を重ね合わせる。

15年間手を出すことがなかった酒に、失われた時間を取り戻すかのように、一瞬の輝きを託す。
二人は陽気に街を練り歩き、叫び、笑う。
アル中のオヤジが営む雑貨屋にある花火を全て打ち上げてしまう。 田舎町の寒空がまるでパリ祭の空のように光放っている。

バカ騒ぎをすればするほど、この上ない寂寥感が湧き、心を打つ。
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翌朝、連れ戻した愛娘とベルモンドは帰路につく、墓参りにゆくというギャバンも途中まで同行する。
誰もがいつかは迎えなければならない人生の冬。
初冬に群れから離れてしまった猿の話を娘にする。

エンディングに「その後、老人は長い冬を迎えた・・」のテロップが画面に流れる。
何かを封印をする時がくる、その前の一時の輝き、老人の燃やす炎の幾重にも見える彩りが鮮やかに心に残っている。

ジャン・ルノワール監督の『大いなる幻影』、ジャック・ベッケル監督の『現金に手を出すな』、フィルム・ノワールの作品群、どの映画でもジャン・ギャバンは輝いていた、ジャガイモみたいな風貌だがその存在感に圧倒させられてしまう。
なかなか陽の目を見ることがなかった『冬の猿』、間違いなくフランス映画の傑作です。 DVDで観ることができます。
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by w-scarecrow | 2010-03-29 20:37 | 映画 | Comments(2)

春にして想う

明日は母の日、一年間の母親の苦労をねぎらい健康で過ごせるようにと願う。

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小津安二郎監督『東京物語』(1953年)、父とは、母とは、家族とはを考えさせてくれる秀作である。
今観ても家族の形態、価値観は変わってきているが流れているものは変わっていない。

周吉(笠智衆)とトミ(東山千栄子)は尾道から、東京や大阪に住んでいる子供たちに会うため旅にでる。
内科の診療所をやっている長男の家に泊まるが家は手狭でそれほど裕福そうでもない。
祖父母のために自分の部屋を空け渡したことに孫は腹を立てている。



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戦死した二男の嫁だった紀子(原節子)が加わり、久しぶりの家族団欒である。
翌日、急患が入り東京見物が中止になった周吉とトミは暇をもてあそぶ。

長男の家をでて長女の家を訪ねるが、夫婦共々忙しくて両親をもてなすゆとりがない。
紀子が会社を休み、二人を観光バスに乗せて東京案内をしてくれる。
そして、ひとり暮らしのアパートへ二人を招く。
そこには戦死した二男の写真が飾ってあった。





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周吉とトミは2泊の予定で熱海に静養に行くが、旅館に団体客が入っており、そのドンチャン騒ぎで眠れぬ夜を過ごす。
海を見渡す防波堤を歩いていたときにトミは目眩を起こし、1泊しただけで東京へ戻る。
早々に帰ってきた両親をいぶかしく見る長男と長女。

居る場所がなくなった二人は上野公園のベンチで思案する。
トミは紀子のアパートへ周吉は旧友の家を訪ねる。

尾道へ戻ったトミは脳溢血の発作に襲われ危篤に陥る。 東京や大阪から子供たちが駆けつけトミの最後を看取る。



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葬儀が終わり、子供たちは慌ただしく帰って行く、最後まで残っていたのは紀子だった。
「妙なものだ。自分が育てた子供より、いわば他人のあんたの方が、よっぽど私たちによくしてくれた。 いやぁ、ありがとう」

子供たちの家にはそれぞれの事情がある。
周吉とトミはもしかしたらこれが子供たちに会える最後の旅であると感じていたと想う。

20歳のときにSan Franciscoの映画館で『東京物語』を初めて観た。
父が笠智衆と似ていたこともあって、涙が溢れんばかりに流れてきた。
行き場所をなくした二人が公園のベンチで宙を眺めている。 その心情を考えたら止まらなかった。

親爺はどうしているのかな?と想い余って近くの公衆電話からコレクトコールをかけた。


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運悪く母がでた。
当時はオペレーターと母と3人で会話ができた。
オペレーターの英語に圧倒され無言でいる。
「受信人払いの電話で、繋いでいいのか?って訊いているから、イエスと言ってくれればいいんだよ・・」
「・・・・・」
金縛りにでもあっているのかもしれない。
今観た映画の感動を伝えたかった。
突然「NO!!」という声が聞こえ電話は切れた。

先日、ムースと美味しい味噌を届けに実家へ。家の近くにきたらスタスタとした足取りで母が前を歩いてた。カメラを取り出し後ろ姿を撮った。

着物を着る機会が多いので大正生まれにしては背筋がピンとしている。
「ムースを買ってきたから食べようっ」 怪訝な顔をしている。 
そのあとは想像通りの言葉が返ってきた。「ムースって・・」

いつまでも元気でいてほしい。 ありがとう。
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by w-scarecrow | 2009-05-09 18:06 | 映画 | Comments(6)