winter's scarecrow

2017年 08月 21日 ( 1 )

豆腐と宝塚


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豆腐屋の主は40代後半、早朝からの水仕事、一日分の揚げ物を油にぶち込み、仮眠をとったら店番だ。そして配達。

夕方6時になるころには売れ残った商品をリヤカーに乗せラッパを鳴らし売り歩く、雨の日も。

女房は働き者だが、宝塚の公演があるときは「ごめん!有休を取らせてもらいます」と偽ブランドのバッグやスカーフを巻き元気よく出てゆく。

ひとり娘は高校1年生だが、いまだに反抗期がつづいている。

娘は野球と宝塚と豆腐が大嫌いだ。

宝塚音楽院を受験させようと中学に上がると無理やりバレーと歌を習わされた。 しかし脚が毎回つってしまってバレーは断念、歌は母親に似たのか根っから音痴。

高校から帰るとリビングでは宝塚歌劇団のDVD が流れ、母親の音の外れた歌声が響いている。
夜はプロ野球を観ながら父親が「アウト!セーフ!」と大声で叫んでいる。

父親は日曜日は毎週、川原のグラウンドに立ち少年野球や草野球の審判員をしている。 どれだけ格好いいポーズでジャッジをできるかリビングでテレビに映る審判員を真似しながらの鍛錬。
ときには審判員のユニフォームを着てマスクを被りポーズの研究をしている。

いつかはより上のライセンスを取り、中学高校の公式審判員になるのが夢だ。

二代目の豆腐店、爺さんも四角い顔だったが父親も四角い。 
野球のストライクゾーンは丁度豆腐の形をしているので馴れ親しんでいる。 ベースも白く四角い。
町を歩いていてベースに似た白い物の上に土が被っていると、どうしてもサッとブラシで掃いたくなる。

川原で審判をする父親の姿を何度か見たことがある。 一緒にいた仲間から「あれ、S美のオヤジじゃん!」「違うよ」「だって顔四角いよ」「いいから行こう」。

あの大袈裟なポーズでジャッジしている父親の姿がダサくてしょうがない。

そんな娘にも心揺れる出来事が起きてくる。 仲間の自殺未遂、憧れの野球部のキャプテンからマネージャーにならないかの誘い。

染めた髪の毛を黒に戻し「お父さんのグローブ借りられないかな?」と、がんもどきを揚げている父親にぶっきらぼうに言ってきた。

リビングからは母親の歌劇の歌声がクライマックスになっている。



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長々と書いてしまいました。

だいぶ昔に、豆腐屋の親父と娘のドラマの企画書として出した話です。もちろん娘の配役は広末涼子でした。
爽やかな青春ドラマが描けなくて、青春物を断念。


東京は明日から30度超えの日がやってくるみたいです。 しんどいけど農作物には恵みの陽の光り。

厚揚げ、がんも、しらたき、こんにゃく、ちくわぶ、大根、ジャガイモとおでんの日が3日つづいたので、どこか小洒落た店のテラスで芋焼酎ではなくギンギンに冷えた生ビールでマルゲリータに食いつきたい。2枚は食える。

「ボーノ」と言えず「ボーク!」と言ってしまいそう。

* 注 上記の写真とストーリーの内容とは関係ありません。

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by w-scarecrow | 2017-08-21 21:43 | そのほか | Comments(4)