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winter's scarecrow

大谷雅彦 白萩湯呑

大谷雅彦 白萩湯呑_e0158857_19304419.jpg
萩の中堅作家、大谷雅彦さんの桜の花を想わせる湯呑。
1963年生まれ、山口美術短大時代から、独創性が注目されていたという。
52歳の若さで亡くなった三輪榮造氏の内弟子として10数年を過ごす。
三輪家といえば白萩、その伝統的な技術と三輪家のもつ現代的な感性を自身のなかで昇華されてきたのかもしれない。

"一楽、二萩、三唐津"と茶人たちから愛されてきた萩の茶碗。
400年もつづく萩焼の歴史、伝統を守りつづけてきたというより守られつづけてきた。
それ故、別な世界観がなかなか生まれてこなかったのかもしてない。
吉田松陰が萩を起点として塾生が集い、そこから巣立った立派な若き志士たちが日本をぶち壊した、そんな土地柄なのに。

そんな中で大谷さんの作品はその基軸を破る素養を感じ取れる。
この湯呑は濃いめの白の釉薬がかけられ、薪窯で焼成するときの薄紫色、ピンクに近い色の窯変が雪解けの大地に桜の花が散ったような景色をみせている。
大谷さんの他にも濱中史朗、金子司氏など若い萩の作家の作品はスタイリッシュで面白い。

朝起きたときのほうじ茶は萩の大きめな湯呑で飲む。 触感が手に優しい。
日本茶を飲ませてくれる専門の喫茶がいくつかあるが、お客さんをもてなすときは萩の汲出が一番安らぐのかもしれません。

今日、電車のなかで制服を着た女子高生が飲み終わったペットボトルを座席の下に置いたまま降りようとしたところ、20代中頃のエビちゃんみたいな今風な子が「ほら、忘れもん!」と突き出した。
格好よかった~!
私はただ見ているだけ。 女は度胸、坊主は読経!
写経、始めよっと。

大谷雅彦 白萩湯呑  口径: 8.2cm 高さ: 9.0cm
by w-scarecrow | 2009-04-06 21:23 | うつわ