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winter's scarecrow

たけくらべ


湯島天満宮(天神)
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男坂、女坂の梅はまだ蕾。

境内へ入ると蕾の開いた白梅がわずかに観ることができた。

学問の神様菅原道真を祀っている神社。
時期もかさなり受験生たちが多かった。
チャリーンと音がした。
おばちゃんが財布から賽銭を出そうとしたのか、落ちてしまった。
受験生がさっと振り向く。
ここでは「落ちる」「落とす」という言葉も行動もタブーである。

私も願い事を絵馬に記そうと思ったが色恋沙汰を祈願した不謹慎な絵馬は一つもなく断念。









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湯島天神から、ゆるやかな坂道を歩き本郷3丁目交差点へ。
"江戸あられ"という看板、昔ながらの硝子ケースに焼き上げたあられや煎餅が詰まっている。
そんな古めかしい店が二軒もあった。

明治の文豪たちの小説によく登場する"菊坂"を下ったあたりに嘗ては長屋が連なっていたと想わせる一帯にでる。
二葉亭四迷、竹久夢二、坂口安吾、梶井基次郎らが暮らしていた。宮沢賢治住居跡と記されたプレートもあった。


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そして路地を曲がると明治時代からの下宿屋が向かい合って建っている。
本郷菊坂70番地。現在は文京区本郷4-32。

樋口一葉が住んでいた建物が現存している。(左側)
16歳の頃から和服の仕立て、洗い張りで生計を立て一家を支えていた一葉。

『たけくらべ』を執筆したのもこの下宿屋である。

吉原の廓に住む、いつかは遊女になることを運命づけられた14歳の少女と僧侶の息子との淡い恋。
やがて僧侶になるための学校へ行くことになった少年は少女の家の窓に水仙の花を差込み、この町を去ってゆく。

隣町である丸山福山町へ転居した一葉は24歳の命を閉じる。





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菊坂をのぼってゆく。
この界隈は帝大に近いこともあって多くの下宿屋があったという。今は姿を変え旅館になっているところもある。
石川啄木と親友の金田一京助が暮らしていた下宿屋もこのそばにある。
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東京大学を抜けて池の端方面へ。
東大生は男女を問わず黒髪の学生が多かった。女子は軽く染めているのかもしれないが男子は金、銀、茶髪は殆どいなかった。
EXILE風もいない。新鮮な驚きがあった。
彼らはいつの日か日本という国を背負い、やがて"渡り"となって暖かな越冬の地へと飛び立ってゆく。
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不忍の池。
大の苦手な鳥さんたちの楽園。足元にも頭のすぐ上にも我がもの顔で飛んでいる。
忍ぶ。
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らーめんと北大路魯山人が共存する街、上野。
明治の香りを今も残す本郷界隈。
昭和の懐かしい顔をもつ池の端。

歴史のある町へきて蕎麦を食べず、なんでcoco壱のハンバーグカレーにしたのだろうか後悔が残る。
会計をするとき一葉を出すのを躊躇い、諭吉にした。

神田末広町から地下鉄に乗り有楽町のガード下で焼鳥で一杯と想ったがまだ陽は落ちていない。
by w-scarecrow | 2009-01-29 20:28 | 散歩