宝石箱
快晴の夏休みなのに公園には全く人影がない、遊具は熱くて触ることができない、疲れているのか蝉たちの声もソプラノぎみでの合唱。
子供たちはクーラーの部屋でゲームをしているのだろうか?
この7月から8月の猛暑、酷暑、お母さんたちはこの暑さをヒートアップし災暑にした " 男・山根明 " をワイドショーで観ているのであろうか?
前日は " 無冠の帝王・山根明 " と見栄をきっていた。
いつか記録ずくめだった今夏を " あの2018年の夏 " となって思い出になるだろうか? それとももっと暑い夏がやってくるんだろうか。
この一週間、帰宅するのは夜の11時過ぎになってしまっている。
電車の中で、何が気に食わないのか彼女に怒りだした男。彼女の喋り方?が頭にきたみたいだ。これも青春。
そこそこ長く生きてきた私でも、撮影のとき以外は人に対して怒ったことが無い、いや一度だけある。
やはり暑かった夏、同居していた彼女から「今から夕飯の買い物をしていくけど何か食べたいものはある?」「雪印の宝石箱!」
少し贅沢なアイス・宝石箱が無性に食べたかった。
電話があってから20分も30分が過ぎても彼女は帰ってこない。
外に出ようとしたら額に汗をにじませた彼女が「ごめ~ん」と笑顔で帰ってきた。
お喋り好きな大家のおばさんに捕まってしまったという。
雪印・宝石箱は無残な姿に。「人が良すぎるんだよ、うまくかわせよ!」と怒ったことがあるくらだ。
乗り換えた電車はお盆だというのに混んでいた。
乗客の90%以上はスマホいじっているが、前に立つ麦わらを被ったお洒落な女の子は単行本を開いていた。
1937年の復刻版 『 君たちはどう生きるか 』、80年前の児童書が若者たちに読まれている。久しぶりに紙の匂いが伝わってくるような思いがした。
私のすぐ横には0才児の赤ちゃん、お母さんにおんぶをされ横にいた私を見てムニャムニャと言っている。
赤ちゃんの腕と脚、本場ドイツのマイスターが作ったぷっくりとしたソーセージみたいで、触りたい衝動を抑えていた。
乳くささと、匂ってはこない紙くささと素敵な時間だった。
by w-scarecrow
| 2018-08-14 03:55
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