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winter's scarecrow

言い古された言葉


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                     言葉
   


                               何もかも失って
                                  言葉まで失ったが
                                  言葉は壊れなかった
                                  流されなかった
                                  ひとりひとりの心の底で

                                  言葉は発芽する
                                  瓦礫の下の大地から
                                  昔ながらの訛り

                            走り書きの文字
                                  途切れがちな意味

                                  言い古された言葉が
                                  苦しみゆえに甦る
                                  哀しみゆえに深まる
                                  新たな意味へと
                                  沈黙に裏打ちされて


                                   谷川俊太郎


東日本大震災から2ヶ月後、中断していた朝日新聞のコラムへの投稿を再開した5月2日の谷川俊太郎の詩。

福岡・大分を襲った豪雨、土砂と引き裂かれた大地の傷痕が生々しく映し出されていた。 

あの時と同じく、言葉にすることができない、声も失う



先日、105歳で亡くなられた日野原重明医師。
医師になって初めて担当した患者さんは16歳の少女だったという。
少女の容態が悪化し、「先生、お世話になりました」と呟く少女の耳元で「しっかりしなさい、死ぬなんてことはない」と思わず叫んだ。

死を受け入れた少女の思いにこたえられなかったのか・・脈をみるよりどうしてもっと彼女の手を握っていてあげなかったのか・・・

日野原医師は「命」にかんする言葉をいっぱい残してくれた。 「生」にかんする言葉も。



東京は猛暑がつづいている。 TVでは夏の高校野球予選の試合が流れている。
球児の姿を観ると、暑い!暑い!なんて言ってられない。
最後の大会になる3年生たちが大粒の涙をながしている。言葉にはできない成長の涙。

今日の昼飯もそうめん。TV番組のグルメコーナーのステーキやうな重、とんかつやハンバーグの名店の逸品を観ながら、そうめんをすすっている。                                    




by w-scarecrow | 2017-07-21 14:30 | そのほか