winter's scarecrow

一枚の写真




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一枚の写真が世界を動かすこともある。 一枚の写真が自分の未来を変えることがある。

ベトナム戦争中、裸のままパナーム弾攻撃から逃げ惑う少女の写真があった。 世界中に反戦機運を高めた一枚。

天安門事件、天安門広場の戦車の隊列の前に立ちはだかった青年と、彼を轢き殺すことを躊躇した戦車の兵士の一コマ。

シリアから脱出するボートが沈没し、息絶えた海辺の男児の一枚の写真。 化学兵器を使った空爆で父親がわが子の遺体を抱えた痛ましい一枚。
それらの写真が世界を大きく動かした。


   私は東日本大震災の直後、海外メディアで掲載されたこの一枚の写真に言葉にできない強いインパクトを受けた。


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世界を動かす写真ではなく、日常を切りとった一枚の写真に心動かされることも多かった。

明治生まれの写真家がライカで撮った東京の街で生きる市井の人々、戦前から戦後への街の変遷を写真で見ているのも楽しかった。
戦中生まれのカメラマンが撮った熱き学生運動の挫折と痛み。
戦後生まれのフォトグラファーが撮ったサイケデリックで空虚な写真、行き場ない若者たちの表情。
どの時代の写真も強く焼きついている。


山口県で作陶されている大中和典氏のざらついたカップで飲むミルクティー、ホッするひととき。ホッ178.png

陶芸作品でも絵画でも工芸でも、音楽、映像でも、自分には持ち合わせていない表現やインスピレーションを持つ作家さんすべてに嫉妬をしている。
高名な作家さんの全く隙のない作品には心がどうしても動かない。全く嫉妬しないから。
嫉妬すること、どこかさりげない作家の主張に通じるものを感じられるからかもしれない。 そして自分が凡人であることの確認。

10数年前に出会ったイギリス人写真家 Michael Kenna (マイケル・ケンナ)の風景写真。 今でもこころ癒されている。


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by w-scarecrow | 2017-05-12 14:56 | そのほか | Comments(2)
Commented by mother-of-pearl at 2017-05-14 12:51
ざらついた質感の器のこちら側と、ミルクティーを挟んだ向こう側
まるで深い山の中の湖の畔りに立つような静かな気持ちになります。

かかしさんの写真にはいつも物語りが流れていますね。

私は沢田教一氏とアーウィット、そしてアルフレッド・スティーグリッツ、、、
とか言いながらも素晴らしい写真家は絞りきれませんね。

改めてマイケル・ケンナを繰り返し眺めています!
Commented by w-scarecrow at 2017-05-15 22:12 x
mother-of-pearl さん、こんばんは。
そうそうたるマグナムフォトの写真家たち。
アーウィットの写真を見ると思わず口元が緩みますよね。
幸せな気持ちになれます。
澤田教一、県立青森高校では寺山修司と同級生。
11歳年上のサト夫人、澤田をずっと見守りつづけた素敵な方。
一ノ瀬泰造にしろ澤田にしろ死ぬのを解ってクメールルージュ支配下のカンボジアへ。アンコールワットに引き寄せられたのでしょね。
マイケル・ケンナ、日本編、こんな視点があるんだと溜息ばかりです。