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winter's scarecrow

ピエロ



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                   散る桜 残る桜も 散る桜


この春はソメイヨシノの見ごろが長かった。 葉桜になってもシュンとした花びらを落とさずにいる元気な木もあった。

近所の公園の大きな桜の木の下で、20代の青年がひとり缶チュウハイを呑みながら天を仰いでいた。 私は離れたベンチで WONDA を飲んでいる。 

「ロック、やってます!」みたいな風貌と仕草。 「いいね、ずっと尖がっていけよ!」と心の声。

そんな彼もこんな私も、心の底を叩いたらどこか悲しい音がするのかもしれない。 今、ひとときの優しい響き。

この世は一つの舞台で人は役者にすぎない。 
だとすれば人を笑わせる側でいたい。

ピエロの頬を伝う哀愁のある涙の化粧も、滑稽さの裏にある人生の対比なのかもしれない。

どんな舞台の脚本を書くのか、どれだけ周りの人々をしっかりと捉えて描けるのか、主人公のキャラクタライズはそれを固めてからでないとできない。 


彼の2本目の缶チューハイのプシュッという音が聞こえた。

『 オッサン、解ったような顔すんなよ!』と缶コーヒーのCMみたいな情景。

そうなんです、寺山修司の " 書を捨てよ 町を出よう " を、もう一度読みかえさなければ・・。

『 がんばれよ、オッサン 』 「俺のことか・・」と、桜の下の無言の響き。


潮風を感じる町に住みたい。 あおさの味噌汁が飲みたい。




by w-scarecrow | 2017-04-17 23:24 | そのほか