呼 吸
Blog を始めてから8年が過ぎ、9年目へ突入。
小学校へ入学したピカピカの一年生が多感な中学三年生になっている時の流れ。
その間、仕事では旅をしてもひとりで思いのままの旅ができなかった。
ふと三陸へ行こうと、時刻表を見て列車に飛び込むこともなくなった。
ひとり旅の道連れは自分自身、広がる美しい景色に感動してもその想いを語りあう相手がいない。
それは寂しいことには違いないが、吐き出すことのできない想いは深く沈潜して忘れがたい画としてずっと片隅に残っている。
一週間分の荷物を持って、どこへ旅に出よう。
そんなことばかり考えて8年が過ぎてしまった。
瀬戸内海の臨める民宿に逗留し、往来する船を窓から眺め、地の野菜や獲りたての魚を地酒で味わう。
民宿のご主人たちの今と、辿ってきた道を聞きながら、自分と重ね合う。 そんな一期一会の旅。
旅をしなががら、その地で足を地につけ生きている人々を見たとき、いつも自分の無力さを感じた。
今も、私は無力であることをよく知っている。 無力であることを嘆いてはいない。 無力だと自覚しつつ、まだ得体の知れないものと格闘している。
米国 Ohio州、Athenes という田舎町の学生寮で暮らしていたことがある。 同室のアメリカ人のAは医学部の学生。
初めて自己紹介したときに「ところで大統領選はどっちの党に投票するの?」と私をアジア系アメリカ人と間違えて質問してきた。
Aは奨学金をもらってい学食でアルバイトをしながらの貧しい医学生。 「僕は共和党に入れるつもり」、鼻っからの政治の話題。
ドナルド・トランプが、Ohioを制して大統領確定のニュースを聞いたとき A を思浮かべた。
私が日本へ帰るとき車で2時間かかるコロンバスの空港まで彼のポンコツ車で送ってくれた。 最後に「 Keep your dream」 と、言葉を贈ってくれた。
ラスベガスの売れないコメディアンみたいな男がアメリカ合衆国の大統領になった。 知識はないが金だけはある。 この顔を4年間観なければならない。 CNNを観るのやめる。
世間が「呼吸」しているとするなら、今はとっても浅くなってはいまいか、イライラしたり、怒ったりすると呼吸は浅くなる。
先へ先へと呼吸を意識することなく一日が過ぎてゆく。
先を急がなくても師走はやってくる。
普段は気づくことない身近な風情にこころ休まるのかもしれない。
ゆっくりと息を吐かなければ・・・と想う。
ゆっくりと。
by w-scarecrow
| 2016-11-09 20:35
| そのほか