渋谷
渋谷。
十数年前から渋谷駅周辺はいつも工事、工事。 新副都心線にヒカリエの開業。
まだ昭和9年に建てられた東急東横店の外観は残っている。
2020年の東京五輪の頃は再開発が進みどんな街へと変貌しているんだろう。
桑田佳祐の新曲、♪ 大河の一滴 ♪ にこんな歌詞が出てくる。
♪ 砂に煙る 渋谷駅の女(あいつ)と出逢ったバスのロータリー ♪
♪ 宮益坂 下って 小さな御嶽神社 ♪
♪ ラケルで オムレツ ♪
♪ 行ったよね ♪
私の通った中学校は渋谷駅から歩いて12~13分、大学は10分。
宮益坂は大学への通学路だった。
アルバイトの給料が入ると学校帰りに桑田くんと同じに喫茶・軽食 " ラケル ” でオムレツを食べるのが常、トロトロのオムレツにホクホクの皮つきじゃがいもに温かな丸いパン。
バイトがない時はラケルから、桜丘にある JAZZ喫茶 " Mary Jane " へ。
大人たちに交じって、背伸びした本を開きながらアバンギャルドなジャズを聴き入っていた。
小学6年生のとき、NHKの小学生のクイズ番組に出演することになったとき、渋谷東横百貨店で初めて自分で選んだ水色のカーディガンを買ってもらった。 嬉しかった。
高校生のときに付き合って間もない女の子に、漱石の「こころ」をプレゼントしたのに、別れるときに返ってきたのは太宰治の「人間失格」だった。 渋谷警察署の前で渡された。
高校の授業が終わり、バイト先の魚屋さんに行く前に、渋谷西武百貨店にあった小さな詩歌専門店 「ぽえむぱろうる」 に寄って、こっそりと凝った装幀の詩集を開くのが愉しみだった。
道玄坂にある " 長崎飯店 ” で初めての皿うどんを食べたときの感動、百軒店の " ムルギー " のいつものカレー、" 喜楽 " のシュウマイ定食。
つい何年か前に別れたのも渋谷宮益坂。
砂に煙る渋谷駅のバスロータリー、別れの悲喜こもごも。 そんな私の渋谷の街。
成長させてくれたのか否か、街だけは変わってゆく。
by w-scarecrow
| 2016-09-05 22:22
| 散歩