winter's scarecrow

あばあちゃんおごじょ

三年前の夏まで80歳を越えたおばあちゃんと文通をしていた。
グレーの罫線がはいった和紙の便箋に大きく力強く筆が流れ、おばあちゃんの部屋から見える田園風景、何度も娘さんに訊いたカタカナ文字の西洋の花の名前、古里の鹿児島の風景と重ね合わせた四季の音を達筆で記してくれていた。


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娘さんの嫁ぎ先の近畿地方に住んでいたおばあちゃんは私のブログを毎回、娘さんに頼んで印刷をしてもらい読んでいたという。
「お母様の楽しい思い出楽しく読まさせて戴いております」と書かれていた。
そのころは(今も)父母の面白言動、行動を頻繁にブログに書いていた。 

私の生まれ育った家から一番近い小学校は慶応幼稚舎、次に近いのは聖心女学院、小学校に上がるときに慶応か聖心のどちらかに入学したいとゴネていた。 制服を着たかった。
「いいかい、慶応は親のことをパパとママと呼ぶ、自家用車のある家の子しか入れないの、聖心はお父様とお母様と呼ぶ家の子・・・それに女の子だけなんだよ」
「じゃあ、うちもパパ、ママと呼べばいいじゃん!」

教育熱心でない両親は高校も大学も好きなとこへ行けの姿勢だったが、高校受験のときは違った「俺、学習院高校、受けようかなって思っている」と言ったら、間髪入れず「それはダメ、ダメ!」と反対した。
訊けば「父母会があったときに着てゆく着物がない」とのことだった。

こんな ” たけしくん、ハイ " みたいなドタバタ一家のよもやま話をおばあちゃんが読んでいてくれた。

おばあちゃんの手紙は自分が目と脚が不自由であることも、お医者さんとの会話でも決してネガティブではなく、ウィットに富んだ文で綴られていた。

昭和60年の婦人画報の正月号、お節料理特集で鹿児島代表でおばあちゃんの家のお節が選ばれ掲載されたらしい。そのときに材料費で5万円も戴いたとおちゃめな笑顔が伝わってくるような表現が愉しかった。

おばあちゃんの若かったころ、ご主人のこと、子供たち孫たちのこと、目に映る風景。
行間には誰かに迷惑をかけたくないということと、古里への郷愁がいつも強く感じられた。

おばあちゃんとの一年半の文通、愉しかった。 明日はおばあちゃんの命日、素敵な時間をありがとうございました。


大学一年生の女の子に「文通してみればいいじゃん、結構ドキッとするよ」と言ったら、「文通って何?!」と返ってきた。
郵便受けにパッと花が咲いているようなあのときめき・・・それを知らない子供たちは可哀想だ。
最近、部屋の郵便受けはDMや請求書ばかり、パッと華やかな花が入っているいいのにな。
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by w-scarecrow | 2014-09-13 18:53 | そのほか | Comments(4)
Commented by mimo720 at 2014-09-13 22:26
本当ですね~(✿◡‿◡ฺ)♡
郵便受けに手紙が入っていた時のうれしさは格別ですよね~。
私も昔は、「趣味は文通」と答えるくらい、文通が好きでした。
・・・と言っても、そんな洒落た文は書けず、遠くに住んでいるペンプレンドやいとこたちに、徒然なるままに書いていただけ・・・。
ご両親のお話、微笑ましいですね~(^-^)
でも、お友達の息子さんが慶応の医学部受けたいと言ったときに、どれだけお金がかかるか聞いて、
て~っ!!て~っ!!??@@・・・・となりました・・・(×ー×)
やっぱり、パパ、ママ、お父様、お母様・・・の世界なんですね~~。
あ、でもうちは小さい頃パパ、ママだったのにな~~(^-^;)
素敵なおばあさまとの文通、いいですね~(✿◡‿◡ฺ)♡
Commented by mother-of-pearl at 2014-09-14 10:07
素晴らしい交流をなさいましたね。
お料理上手なところ、ウィットに富んだお話が楽しいところ。
全て娘さんに受け継がれているようです。

素敵な思い出語りは何よりの御供養になりましたね。

☆かかしさんのご両親は、本当に楽しい方達ですね!
今、過去記事を追いかけているところです(^.^)
Commented by w-scarecrow at 2014-09-14 19:43 x
mimo さん、こんばんは。
若い子たちは文通、交換日記という言葉、行為は通じません。
時代に逆らって、手紙で気持ちを伝える作業もやれば愉しいのにと思います。
雑誌の文通希望欄で手紙を送った人も多いですよね。
名字が鈴木、佐藤より、勅使河原、三枝の方に気持ちは行ってしまいました。
mimo さんもきっと可愛いレターセットで送ったんでしょうね。
どんなことを書いていたんだろう? 思い起こすと恥ずかしいですよね。
そう、小さいころから私立の理工系へ行くのは阻止しないと。もし行くのであれば海外留学の方が負担にならないかもしれません。
アメリカでもヨーロッパでも片田舎の公立大だったら日本よりかなり授業料が安いと思います。
mimo さん、実家の札幌のうつわ屋さんで買い物をしてきました?
北海道のザンギものせてみてください。内地のとどう違うんだろう。
少し年をとってからの文通、いいですね。
Commented by w-scarecrow at 2014-09-14 20:01 x
mother-of-pearl さん、こんばんは。
素敵なおばあちゃんで手紙を読んでいてすごく明るい気持ちになれました。ポジティブなんです。
お年寄りから娘時代の話を聞くと、ほんとその時代に戻ってしまって、初々しく、その時代の画が聞いている方も浮かんでしまいます。
おばあちゃんが部屋で手紙を書いている様子、便箋や封筒を買いに行く様子、そんなかけがいのない時間をいただいたようで嬉しかったです。
おばあちゃんは昔ながらの薩摩おごじょ、ステーキと焼酎の好きなKさんは田原坂で戦った武士(薩摩藩士)のような気がしてならないんですが・・・。
明日は敬老の日、成人式みたく区役所で催しをやればいいと思います。
帰りはみんなで居酒屋や歌声喫茶へ繰り出して・・・。