叫び
六本木・ミッドタウンの入り口前に大きなオブジェがあった。
雨の中、傘の角度を上げ見入ってしまった。
丸めた新聞紙とガムテープで作られたオブジェ、子供から年寄りまで叫んだり上を見たり、無表情だったり、喜びの叫びとも嘆きの叫びとも観る人によって、その時の心持ちによって感じ方が違うのかもしれない。
あとで知ったのだが、関口光太郎さんの 『 あ 』 という作品。 遠くから見ると " あ " という文字のオブジェらしい。
雨の乃木神社、ソメイヨシノの花びらが濡れた地面に重なることなく、まるで人が撒いたように均等に置かれていた。
狸穴から坂を下り、麻布十番から目黒行きのバスに乗った。
仙台坂をのぼって、都立中央図書館、子供の頃の遊び場だった有栖川公園を通る麻布界隈の風景が好きだ。
このバスの運転手さんはきっとカラオケが好きだろうと想った。
「左折いたしますっ」 「バスが停車してから席をお立ちください」 「傘を忘れないようにしてくださいっ」と、どのアナウンスにも五木ひろし風のフシがついている。
ただ、バスが発車するときに必ず「ヨイショ」という言葉が漏れる。 「はい、発車しま~す。 ヨイショ・・・」
人力車を牽いているわけじゃないのに、力が入るみたいだ。
私の後ろの席の女の子が笑いのツボにはまっていた。
「がんばれ運転手さん!仕事が終わったら、ご近所のカラオケスナックでポッキーでもつまみながら五木ひろしの ♪ 契り ♪ でも歌ってください」
by w-scarecrow
| 2013-04-03 23:41
| 散歩