winter's scarecrow

手紙

東京は31℃を超えていた。
帰り道、こんな日はバスに限る。

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一番好きな運転手さんの横の一人席はツルツル頭のお爺さんが陣取っていた。
仕方なく最後尾の席へ。

子どもと一緒で窓から道往く人々を眺めるのが好きだ。 出来れば靴を脱いで窓に覆い被さるようにして眺めたい。

電話会社の人がクレーンに乗り電柱の太い電線を直している。 女子高生たちがパンを食べながら夢中で喋り歩いている。
自転車に乗ったネクタイをした男が片手で携帯をいじりながら人通りの多い舗道を勢いよく走っている。
キャリーバックを引いたお婆さんが10mくらい歩いては止まり背筋を伸ばし、また歩いては止まっていた。

私の隣りでは私立小学校の制服を着た低学年の女の子がドリルをやっている。 
「ねえママ、ここ教えて・・・」とお母さんに訊いている。

バスの中でもお年寄り以外は皆、下を向き携帯を覗いている。
「ねえ、これが終わったら、おばあちゃんに手紙を書いていい?」
「バスは揺れるから、ちゃんと書けないでしょ」
「じゃあ、おうちに帰ってから書いていい?」
話を聞いていると買ったばかりのお手紙セットがカバンの中にあるみたいだ。
カバンの中から取り出そうか迷っていた。

涙腺が弱くなってきたせいか、子どもが「おばあちゃんに」とか「おじいちゃんに」と言葉を発するだけで目頭が熱くなる。

手紙を書くことが少なくなってきた。
若者たちの殆どがラブレターを書いた経験がないらしい。
私なんかはギネスブックに登録されるくらい書きまくった。

今は2ヶ月に一度、宮崎の病院に入院をされている80代のお婆さんに便りを送っている。
以前はこのBlogを読んでくれていた。
あ婆さんの生まれ育った町や風景、嫁いできて暮らした家や家族のこと、娘時代の淡い思い出、孫たちへの温かな眼差し・・・・一文字一文字を丁寧に自分の歩んできた道を確認するかのように綴っている。

花にうとい私が撮った季節の花の写真を毎回同封している。
ひとりでも喜んでくれる人がいれば、花を見つけてシャッターを切るのが愉しみになってくる。
バスで隣りに座った女の子も、手紙を受け取ったおばあちゃんの笑顔を想い浮かべ、買ったばかりの便箋に想いをこめていることと想う。
by w-scarecrow | 2011-06-22 21:50 | 散歩 | Comments(2)
Commented by yundes at 2011-06-22 23:52
ラブレターっていい響きの言葉ですね。
今の世の中、PCやケイタイのメールが当たり前の時代。
ラブレターもいずれは私語になってしまいそう・・・

20数年前は手紙をよく書きました。
遠くに引っ越した友人や、本の文通コーナーで知り合い長年、手紙のやりとりをした。
どのレターセットにしようかな?って選ぶのも楽しかったな~

わたしも花の名前にはうとく…母に聞いてばかりです。
今度、花の図鑑を買おうかな~
Commented by w- scarecrow at 2011-06-23 22:17 x
yundesさんの言う通りラブレターのレターがなくなってしまうのでしょうね。
当時の文面、今見たら穴があったら入りたいでしょうね。
格好悪かったですよね。
でも、今手紙を書いても想いを伝えたい!から、大人のちょいと曖昧に表現したバージョンなんでしょうね。
今でも、たまにレターセットを買ってきます。
郵便局へ行って、面白い記念切手を買ってそんな過程が愉しいんでしょうね。
僕も花の図鑑が欲しいです。野に咲くマイナーな雑草まで載っているのが欲しいです。