winter's scarecrow

蚊取り線香

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観覧車を見て、すぐに想い浮かぶのは映画『第三の男』。
第二次大戦後の荒廃したウイーンの街、遊園地の破壊された遊具のなかに観覧車だけは朽ちることなく、灰色の空に聳えている。

事故で死んだとされていたハリー・ライム(オーソン・ウェルズ)と親友のアメリカ人小説家マーティンズ(ジョセフ・コットン)が再会する観覧車のシーン。
ハリーが粗悪なペニシリンの闇売買で財を成しているという事実を信じたくないマーティンズにいう言葉が印象的だった。

「ボルジア家の30年の圧政はミケランジェロやレオナルド・ダ・ヴィンチのルネッサンスを生んだが、スイス500年のデモクラシーと平和は何を生んだ?! 鳩時計だけだ」

観覧車の高みから見えてくるもの、頂きから徐々に降りてくる周りの風景の変化・・・。

戦争という『悪』に翻弄され、心までも壊されていった現実の虚しさがハリーの口元に浮かんでいた。

FMからガンジー石原の歌う♪人間は蚊取り線香♪ という曲が流れてきた。
中島らもさんの劇団の作家をしていたガンジー石原、50歳を過ぎてのシンガーデビューらしい。

渦を巻いた線香はゆっくりと燃え、灰を落とし、やがて渦の中心にきた時に役目を終える。


私は蚊取り線香が尽きたとき、燃え落ちた灰が生きてきた証しを残すように、渦を巻いた灰になっている様子をしばらく眺めてしまうことがある。
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by w-scarecrow | 2011-01-20 18:25 | そのほか | Comments(8)
Commented by hayatedani at 2011-01-21 00:23
人生というのは 迷いながら悩みながら
ぐるぐる回って過ぎていくのかもしれませんね
渦を巻いた私の灰は、どんな形なんでしょう

綺麗な形なら良いのですが…
Commented by w- scarecrow at 2011-01-21 09:03 x
hayatedaniさん、おはようございます。
観覧車っていつ以来乗っていないんだろう?って想います。
徐々に昇っていくときが不安ですよね。景色なんて目に入りません。
hayatedaniさんの灰は自身の描く絵のように繊細な形だと想います!
Commented by nob at 2011-01-21 23:18 x
こんばんわ~
そういえば「第三の男」のDVDは我が家にあるんですが、じっくり観た事がなかったです~
週末にさっそく観てみる事にします!
それにしても大きな観覧車ですね。
高いところは好きな方なんですが、遊園地と言うとどうしてもジェットコースターに乗ってしまうんですよ。
刺激を求めるタイプなもんで(汗)
でも、今までの人生はそれほど過激ではないですが(笑)
Commented by yundes at 2011-01-21 23:59
観覧車、大好きです!
必ず遊園地に行くと乗ります^^高い所から見る景色が
非現実的で少しの間だけ別世界を感じられるからかも。
大きな観覧車ですね~どこのですか?

香取線香、最近は電子式のベープとか出ててあまり見かけなくなった。
小さい頃、香取線香の缶から綺麗に渦巻きのまま取り出すのが苦手で
折れてしまったり、真ん中だけ取れたりで…
バラバラとなった線香に母が火をつけてた^^:
 
Commented by w- scarecrow at 2011-01-22 09:57 x
nobさん、おはようございます。
みなとみらいの観覧車です。どうして女子ってスリルが好きなんですかね?
僕は仕事が丁半どちらに出るかスリル満点なので、穏かな日々を求めています。
nobさんは観覧車のてっぺんあたりで「ワ~美味しい」と坦々麺のカップラーメンのフタを開けてそうですね。
オーソン・ウェルズはすごいですね。格好いい。
Commented by w- scarecrow at 2011-01-22 10:07 x
yundesさん、おはようございます。
東京出張はいつまでなんですか? BLOGをupしているのでびっくりしてしまいました。
穴場探しで悩んでいたら、いつでも訊いてください。
観覧車を乗る時は煩悩ばかりでシュミレーション通りいくか、タイミングはいつか、そんなことばかり考えていたので、殆ど雄大な風景を見ることがなかったんです。
そうそう、あの重なっている渦巻きを取り出すのは至難の技でしたね。
やっぱり、ブタさんの口から煙が出ていてほしいですね。
東京出張、楽しんでいってくださいね。
Commented by チューリップ at 2011-01-22 18:28 x
第三の男に登場した観覧車、新婚旅行のオーストリアで乗りました。
かれこれ20年近く前の話ですが(^_^;)
日本の観覧車と違って、とても大きく10人位乗れそうな箱だったことを思い出します。
記憶が正しければ、木製だったような?
第三の男とはそういう話だったんですね。
大阪だと海遊館の観覧車ってとこでしょうか。
女性もいろいろで私は高い所大嫌いなので観覧車苦手です(^_^;)

Commented by w- scarecrow at 2011-01-23 16:33 x
チューリップさん、まだあの観覧車は残っているんですか?
10人が乗れる大きさだとケーブルカーみたいですよね。
でも観覧車はカップルが乗る日本のシミジミーっとしたサイズがいいですよ。
新婚旅行でオーストリアっていいですね。
音楽、スキー、牛乳ファンには絶好の国。
観覧車はやはり緊張しますよね。一周回って降りるとき「ホッ」と声に出てしまいます。
観覧車とプラネタリウムはご無沙汰です。
不純な心でなく、ちゃんと星々を眺めてみたいなと想うときがあります。