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winter's scarecrow

色、うつろい

春夏秋冬、四季折々の自然の変化に富んだ日本。
人々は自然界の色から季節の移ろいを感じ、恵みの豊さに感謝し、自然界の色に憧れ染色、やきものや菓子や料理とあらゆるものづくりに色を映しだしてきた。
紅葉を観て英語ならRedという一色にくくられてしまうが紅色、朱色他々と日本ならではの色彩表現、自然の色から生みだす中間色、日本古来からの伝統色の底の広さ。
四季の移ろいを強く感じることのなくなった現在、どんな色に憧れ、どういう色表現をしてゆくのだろう。


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好きな黄瀬戸のうつわを紹介します。

『黄瀬戸』、桃山時代に美濃でつくられた黄色いやきもの。
中国の青磁をつくろうと焼成したが窯から出すと黄色いものが出てきた。 十分に還元焼成ができなくて酸化焼成となって出てきたのが黄瀬戸の始まり。

(写真上2枚)豊場惺也 『八角形黄瀬戸湯呑』 (1942年生まれ、岐阜県可児市に築窯)
人間国宝・荒川豊蔵氏に師事し、志野、黄瀬戸など独特な色彩表現をされる作家。 
淡い色のやわらかな作品が和みを感じさせてくれる大好きな作家さん。

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各務賢周 『黄瀬戸湯呑』 (1973年岐阜県恵那市生まれ)
幼いころから父(各務周海)のやきものづくりを手伝い、土や薪、灰の扱いを学んできた作家。
控えめなタンバン(緑に発色する銅)、口縁から腰にかけての焦げがやわらかな風合いのうつわのアクセントとなっている。 
黄葉の秋より春を想わせる湯呑である。
昨年、お父さんの周海さんの個展を見に行き、白髪の骨太の体躯をされた作家さんという強烈な印象。
繊細な黄瀬戸をつくられる手をジッと見つめてしまった。 そのすぐ後、5月に他界された。
賢周さんもいつの日かお父さんの手になられることと想います。


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浜田純理 『黄瀬戸小服碗』 (1947年、岡山県備前市生まれ)
岐阜県土岐で作陶されている浜田純理さんのタンバンと焦げの強いコントラストをもつ小服碗。
桃山陶を追い求め、穴窯とガス窯を使い炎を強く感じさせる作品をつくられている。
素人目にはいつも遊び心満点な野趣に富んだダイナミックさを感じてしまう。


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久保忠廣 『黄瀬戸湯呑』 (1948年、東京生まれ。三重県に築窯)
以前に紹介した、久保忠廣さんの鮮やかな黄色、タンバンの緑がくっきりと発色した油揚げ手の綺麗な湯呑。
久保さんの作品の造形がどれをとっても手にぴったりと馴染む、使い手を心地よくさせてくれるうつわに感服する。

東京は来週から暖かな日がつづくという。
三寒四温、植物たちの体内時計のスイッチがそろそろONになる頃かもしれない。
私の体内時計は手巻きなので、いつも狂っている。
春が近づくと、小学1年生のように童謡を口ずさんでいる。 ♪春と来い!早く来い!のぼりくだりの船人が・・♪
by w-scarecrow | 2010-01-16 14:09 | うつわ