winter's scarecrow

Open to Love

いちばん好きな俳優はと訊かれたら、Sam Shepard(サム・シェパード)と答える。
『天国の日々』、『ライトスタッフ』、『カントリー』、『パリ・テキサス』では脚本で参加している。
アメリカの広い荒野が似合う俳優が少なくなってきた。 ストイックで孤独感を感じられる風貌、一途で無口。 
S.Shepardの演じるという余計なものを削ぎ落した存在感はすごい。  
テストパイロットたちの空の閉塞感、恐怖感、家で待つ家族の不安を描いた『ライトスタッフ』。
S.Shepardの父親は戦闘機のパイロットとしてイタリア戦線に従軍している。 母親は彼を連れアメリカ中の空軍基地を転々としていたらしい。 映画のなかの家族と彼の生い立ちが重なっている。 
Samは1963年、ケネディー暗殺の年、N.Y.でオフ・オフ・ブロードウェイの盛隆が高まり始めたころに有名なJazz ベーシストのCharles Mingusの息子のJr.(L.A.時代の幼馴染)を頼りにN.Y.へ降り立った。
"Village Gate"という名門Jazz ClubでMingus Jr.とともにボーイとして働くようになった。

同じころN.Y.でSamと同じ異端児のpianist,Paul Bleyも新しい活躍の場を求めていた。
jazz sceneもマンネリのハードバップからの変革のころ、SamとP.Bleyの接点がVillage Gateにある。
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Open to Love

Paul Bley (piano solo)


Recorded 1972.9.11 ECM RECORDS.



Paul Bley (ポール・ブレイ)
1932年、カナダのモントリーオール生まれ。
1953年、"Introducing Paul Bley"でCharles Mingus,Art Blekeyとのトリオ・アルバムでデビュー。

彼のアルバムはreleaseするたびに感じる風景が違うことが多い、出来不出来だったり選曲、構成、producerの違いによっても印象が変わってくる。
このアルバムが発表された'70年代、ECMのマンフレッド・アイヒャーとの出会い。 このころが一番安定した作品を送り出している。

研ぎ澄まされた一音一音の余韻、軟らかなメロディーラインに鋭く切りこんでくる強い波、耽美的な旋律。
春の朝に聴きたい piano soloである。

Sam Shepard著、"Motel Chronicles"で彼の大好きな叔母さんの口癖が書いてある。
「暑い日にはマヨネーズは毒だと、僕のおばさんが教えてくれた。
それから札入れを持たずに外出してはいけない。
事故にあったときに死体を確認できないからね」

私がアメリカで暮らすことになったとき、旅立つ日に玄関先で母が言った。
「お前、何か大事な忘れもんをしてないかい?
ほら、ハンコ! 向こうで郵便局や銀行に行ったときに困るだろ・・・」

母はその日のために、ちょっと高そうな実印を作ってくれていた。
「向こうでハンコは・・・」 返す言葉をのみ込んだ。 「ありがとう!」
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by w-scarecrow | 2009-04-26 14:07 | music | Comments(4)
Commented by OKO1225 at 2009-04-26 19:36
こんばんは!!
いつも楽しい親子の語らい。
和みます。
私の母と似ていますから..
今日も宅配さんに「ヤマネコさんご苦労さま!!」
と 真剣に話しかけていました...
Open to Love ♪
私もこの曲いいなあ-と思いました。
Commented by w-scarecrow at 2009-04-27 18:17 x
okoさん、うちの母はそれでいてクイズ番組が大好きなんです。
"ご長寿早押しクイズ"のときは「ヤダヤダ年寄は」と他人事のように見てました。
okoさんのお母さん、ペリカン便が来たときは
「ミツカンさん」と間違えないですかね。
Commented by mico_hidamari at 2009-04-28 12:56
お母様とのやりとり、面白いですね(笑)
可愛らしい・・と言っては失礼かもしれませんが・・
笑ってしまいました。
Commented by w-scarecrow at 2009-04-28 19:20 x
micoさん、ほんと楽しいですよ。
小さいときは怖くてしょがなかったのに80を過ぎると可愛いらしくなってきますね。 きっと鶴瓶が突然訪ねてくる夢をみていると想います。